2001 Fiscal Year Annual Research Report
鶏胚発生・初期成長期における骨格筋形成因子と基質トランスポーターの発現調節
Project/Area Number |
13460121
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
秋葉 征夫 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (30005631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 幹 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (20250730)
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Keywords | 骨格筋 / 筋細胞 / 分化 / MyoD / GULT / インスリン / 初期成長 / 鶏 |
Research Abstract |
鶏骨格筋細胞の増殖・分化・発達を制御する因子(骨格筋形成因子)と筋細胞の基質取り込み機能を制御する特異的蛋白質の関係を分子細胞生物学的に解明し、食肉生産の向上のための技術基盤に応用することを目的とした。本年度は、鶏骨格筋細胞の骨格筋筋形成と基質取りこみ機能を持つ特異的タンパク質(GLUT)のmRNA発現の関係を明らかにするとともに、、初期成長時における鶏のエネルギー基質取りこみ機能を明らかにして、鶏における骨格筋の発達をエネルギー基質、特にグルコースの取りこみの観点から制御することを試みた。 (1)骨格筋(骨格筋細胞)の増殖・分化・発達を制御する因子(骨格筋形成因子)と筋細胞の基質取り込み機能を制御する特異的蛋白質の関係の解明 哺乳動物の骨格筋の筋形成過程では、グルコースを取リこむ膜タンパク質であるGLUTのmRNA発現の変動が確認されている。そこで、鶏骨格筋細胞における筋形成とGLUTのmRNA発現の関係を調査した。増殖期にある鶏予定筋芽細胞が、骨格筋の初期分化を特異的に誘導する転写因子であるMyo D familyのmRNA発現が亢進することにより分化が進行し、終末分化のマーカーである筋型CPK活性の上昇とともに筋芽細胞の融合が進行し、筋管を形成した。すなわち、本培養条件下で鶏の筋形成過程を観察することができた。一方、細胞への基質取りこみを担うGLUTのmRNA発現量の変動はほとんど確認されず、鶏骨格筋形成における基質取りこみの種特異性の存在が示唆された。 (2)出生直後(初期成長時)におけるエネルギー基質取り込みの特異性 鶏初期成長期の血漿インスリン(Ins)濃度の推移とIhs投与に対する血漿グルコース(Glu)応答の特徴を検討し、鶏における筋肉の発達と基質取リこみの関係を明らかにした。血漿Ins濃度は孵化後1日まで低く、2-7日では若干上昇したが、それらの濃度は10-28日齢時に比べて低い傾向を示した。一方、1日齢のヒナでは、Ins10μg腹腔内投与60分後における血漿Glu濃度の低下は21日齢よりも大きく、初期成長期の鶏ヒナでは血漿インスリン濃度が低く、反対に基質トランスポートにおけるインスリン感受性が大きい特徴を持つことが示唆された。
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