2003 Fiscal Year Annual Research Report
卵子が発するシグナルによる体細胞の増殖・分化の制御機構
Project/Area Number |
13460133
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
服部 眞彰 九州大学, 農学研究院, 教授 (60175536)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 幸雄 明治大学, 農学部, 教授 (30114177)
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Keywords | 一酸化窒素 / 卵子 / 遺伝子発現 / 細胞増殖・分化 / 窒素酸化物定量 / 卵巣 / 卵成熟 / ホルモン |
Research Abstract |
卵子におけるエストラジオールによるNO生成の制御機構について、特にeNOSの発現、エストロゲン受容体の発現、およびエストロゲン作用に及ぼす卵胞液の影響を調査した。エストラジオールがNO生成に影響を及ぼしたので、eNOS遺伝子の発現についてRT-PCRおよびWestern blottingにより調べたが、殆ど有意な変化は見られなかった。エストラジオールの影響が直接的に卵子に及んでいる可能性を明らかにするために、卵子でのエストロゲン受容体発現をRT-PCRにより調べた。エストロゲン受容体はαとβのサブタイプがあるが、卵子にはβサブタイプが存在し、卵子を取りまく卵丘細胞には両サブタイプが存在することが明らかになった。すなわち、エストロゲンの作用は卵子に対して直接的に、しかもノンゲノミック作用によってNO生成を制御することが示唆された。このエストロゲン作用は、卵胞液によって抑制された。10%程度の卵胞液はエストラジオールによるNO生成作用を完全に抑制したが、エストラジオールの量を増加すれば、NO生成が増加したことから、競合的な抑制効果を持つ因子が卵胞液中に存在することが考えられた。 以上、卵子によるNO生成には顆粒膜細胞が生成するエストロゲンによって直接的に調節されているが、卵胞液中の因子によってその作用が抑制されている。卵胞が成熟するにしたがって、エストゲン生成量が増加してくると、卵子によるNO生成が増加することが考えられた。eNOSは単量体では活性を示さず、二量体で活性化されNOを生成することが考えられている。このような分子レベルでのeNOSの活性化調節の解析が必要であり、エストロゲンとNOを担体とした卵子と体細胞のコミューニケーションの解明が期待される。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Hattori M-A, Kato Y, Fujihara N: "Retinoic acid suppression of endothelial nitric oxide synthase in porcine oocytes."The Canadian Journal of Physiology and Pharmacology. 80. 777-782 (2002)
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[Publications] Takesue K, Tabata S, Sato F, Hattori M-A: "Expression of functional nitric oxide synthase-3 in the porcine oocyte obtained from different developing stages of follicles."The Journal of Reproduction and Development. 49. 135-140 (2003)
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[Publications] Xi YM, Nada Y, Soh T, Fujihara N, Hattori M-A: "Establishment of feather follicle stem cells as potential vehicles for delivering exogenous genes in birds."The Journal of Reproduction and Development. 49. 213-219 (2003)
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[Publications] Xi YM, Nada Y, Soh T, Fujihara N, Hattori M-A: "Green fluorescent protein gene-transfected peafowl somatic cells participate in the development of chicken embryos."The Journal of Experimental Zoology. 301A(2). 139-149 (2004)
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[Publications] Hattori M-A, Arai M, Saruwatari K, Kato Y: "Estrogen regulation of nitirc oxide synthesis in the porcine oocyte."Molecular and Cellular Biochemistry. (印刷中). (2004)
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[Publications] Fujioka T, Soh T, Fujihara N, Hattori M-A: "A possible function of transforming growth factor-β2 during the development of chicken embryonic gonad."The Journal of Experimental Zoology. (印刷中). (2004)