2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13460148
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
内田 隆史 東北大学, 学際科学国際高等研究センター, 助教授 (80312239)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福本 学 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (60156809)
藤森 文啓 東京理科大学, 基礎工学部, 助手 (50318226)
内田 千代子 茨城大学, 保健管理センター, 助教授 (80312776)
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Keywords | Pin1 / 遺伝子欠損マウス / アルツハイマー病 / 神経原繊維変化 / myc / がん遺伝子 |
Research Abstract |
Pin1遺伝子欠損マウスの表現系の解析を継続して行った。今年度は神経系の表現系に特に注目して研究した。我々独自でのプロジェクトに加えて、脳研究に実績がなかったので、外国との共同研究も積極的に行った。我々の作成したマウスであるので、その点では絶対的に強いので比較的安心して共同研究ができたが、特許をとっておかなかったことは失敗だった。脳の解析の結果、驚くべきことに、このマウスがアルツハイマー病の病理症状を呈していることがわかった。遺伝子を過剰発現させるのではなくて、特定の遺伝子を欠損させることでアルツハイマー病に関係する神経原線維変化を起こしたマウスを作成することに成功したのは世界で初めてである。また、実際に、Pin1-KOマウスは、加齢とともに運動能が低下し、反射異常も見られたが、これらの加齢Pin1-KOマウスの頭頂皮質や運動能に関係する脊髄の前核細胞でもニューロン数の減少が認められた。本研究では、Pin1がタウの神経原繊維変化を阻害していることを示したが、この事実は、Pin1がアルツハイマー病などの神経変性疾患の発症を抑制する可能性があることを示していることも重要なポイントである。以上の成果を報告した論文は一昨年に続きNatureに掲載されたほか、国内外の新聞、ラジオなどでも大きく取り上げられた。さらに、以前から私が指摘していた、Pin1が癌遺伝子mycの発現レベルを蛋白質の分解の過程で制御していることが証明されて、この報告は今年4月にNature Cell Biologyに印刷中である。我々は、本研究助成金を受けているテーマで、この3年以内に3報もの論文をNatureに掲載できた。このほか、Nature Cell Biology, Chem and Biol(Cell姉妹紙)、PNAS, JBC, JMBなどの一流雑誌にも論文を出せた。この事実は、我々が本助成金を非常に効率よく有効に使って研究できたことを示していると自負している。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] Yeh, E.et al.: "A signaling pathway controlling myc degradation that impacts oncogenic transformation of human cells"Nature Cell Biology. (in press). (2004)
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[Publications] Liou, YC.et al.: "Role of the prolyl isomerase Pin1 in protecting against age-dependent neurodegeneration"Nature. 424. 556-561 (2003)
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[Publications] Miyashita, H.et al.: "Expression status of Pin1 and cyclins in oral squamous cell carcinoma : Pin1 correlates with cyclin D1 mRNA expression and clinical significance of cyclins"Oncol.Rep.. 10. 1045-1048 (2003)
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[Publications] Uchida, T.et al.: "Pin1 and Par14 peptidyl prolyl isomerase inhibitors block cell proliferation"Chemistry and Biology. 10. 15-24 (2003)
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[Publications] Miyashita, H.et al.: "Pin1 is overexpressed in oral squmous cell carcinoma and its level correlates with cyclin D1 level"Oncol.Rep.. 10. 455-461 (2003)
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[Publications] 内田 隆史: "タンパク質リン酸化調節異常と疾患"Molecular Medicine. 中山書店. 4月号(印刷中). (2004)
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[Publications] 内田 隆史: "Pin1のアルツハイマー病防止機能"Biomedical Quick Review Net(インターネット)Xメディカルドゥ社. No.015. (2003)
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[Publications] 内田 隆史: "加齢に伴う神経変性から脳を守るプロリルイソメラーゼPin1"医学のあゆみ 医歯薬出版社. 207. 205-206 (2003)
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[Publications] 内田 隆史: "タンパク質のリン酸化の謎を解く鍵Pin1"Molecular Medicine 中山書店. 40. 468-474 (2003)