2003 Fiscal Year Annual Research Report
PGE合成酵素・受容体特異的プローブを利用した発熱の脳内機構解析
Project/Area Number |
13470011
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松村 潔 京都大学, 情報学研究科, 助教授 (10157349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細川 浩 京都大学, 情報学研究科, 助手 (90359779)
松村 京子 兵庫教育大学, 学校教育学部, 教授 (40173877)
小林 茂夫 京都大学, 情報学研究科, 教授 (40124797)
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Keywords | プロスタグランジン / ホスホリパーゼA2 / プロスタグランジン輸送体 / くも膜 / シクロオキシゲナーゼ-2 / 血管内皮細胞 |
Research Abstract |
1、mPGESは発熱に必須であることをmPGES遺伝子欠損(mPGES KO)マウスを用いて証明した。 今回以下の実験結果からmPGESが発熱に必須の酵素であることを明らかにした。 (1)LPS腹腔内投与、テレピン油皮下投与、インターロイキン1β(IL-1β)脳室内投与に対して、wild typeマウスは発熱するが、mPGES KOマウスは全く発熱しない。 (2)脳室内PGE2投与に対する発熱反応は両マウス群で同様であった。 (3)LPS腹腔内投与後の血漿IL-1βの濃度は両マウス群で同様であった。 (4)脳血管内皮細胞におけるCOX-2の発現は両マウス群で同様であった。 2、LPSを投与されたラットの脳血管でPGE2産生が他のPG産生と比べて特異的に亢進することを発見した。 LPS投与で脳血管がPGE2を産生することは、COX-2とmPGES酵素群の発現から間接的に推測されてきた。今回以下のようにその直接的な証明を行った。 (1)LPSあるいは生理食塩水腹腔内投与後4時間で、ラットのくも膜下腔の血管を採取し、試験管内で培養する。その培養上清中に放出されたPGE2は、LPS刺激で3倍以上に増加した。 (2)LPS刺激によるPGE2産生はCOX-2阻害剤で抑制された。 (3)他のPG類(PGF2α、PGD2、PGI2、TXA2)産生に対するLPS刺激の効果は弱かった。 (4)種々のPLA2阻害剤を用いて検討したが、有効な阻害効果は得られていない。 3、発熱の出力系神経回路として延髄淡蒼縫線核から脊髄への神経投射を解析した。 今回Vesicular Glutamate Transporter3(VGLUT3)を発現する延髄淡蒼縫線核の神経細胞が、胸髄交感神経節前神経 に投射し、褐色脂肪細胞の活動を調節していることを、神経解剖学的、生理学的に明らかにした。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Ozaki, Y., Matsumura, K., Ibuki, T., Ueda, M., Yamazaki, Y., Tanaka, Y., Kobayashi, S.: "Burn injury enhances brain prostaglandin E2 production through induction of cyclooxygenase-2 and microsomal prostaglandin E synthase in cerebral vascular endothelial cells in rats, In press 2003"Crit.Care Med.. 32. 795-800 (2004)
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[Publications] Ibuki, T., Matsumura, K., Yamazaki, Y., Nozaki, T., Tanaka, Y., Kobayashi, S.: "Cyclooxygenase-2 is induced in the endothelial cells throughout the central nervous system during carrageenan-induced hind paw inflammation ; its possible role in hyperalgesia, Attenuated fever in pregnant rats is associated with blunted syntheses of brain cyclooxygenase-2 and PGE_2"J.Neurochem.. 86. 318-328 (2003)
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[Publications] 松村潔, 小林茂夫: "感染性疲労と発熱"医学のあゆみ. 204・5. 355-361 (2003)
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[Publications] 松村潔, 小林茂夫: "脳免疫連関と疲労・発熱"脳21. 7・1. 19-25 (2004)
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[Publications] 松村潔, 井上捗, 岡村里香, 川口陽, 小林茂夫: "脳室およびその周囲器官 第4章 脳と免疫系の対話"ブレーン出版. 160 (2003)