2002 Fiscal Year Annual Research Report
新しい哺乳動物ホスホリパーゼC分子種PLC-εの機能解析
Project/Area Number |
13470022
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
片岡 徹 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40144472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
枝松 裕紀 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (70335438)
島 扶美 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (60335445)
佐藤 孝哉 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (20251655)
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Keywords | ホスホリパーゼC / イノシトール脂質代謝 / 低分子量G蛋白質 / 細胞内情報伝達 / Ras蛋白質 / Rap1蛋白質 / ノックアウトマウス / 線虫 |
Research Abstract |
我々が発見した新しいクラスのホスホリパーゼC(PLC)であるPLCεの活性調節機構と生体内機能を解明した。細胞の血小板由来細胞増殖因子(PDGF)刺激に伴い、低分子量G蛋白質RasとRap1が活性化され、PLCεはRasとの結合を介して即時性、Rap1との結合を介して持続性の二相性の活性化を受けることが証明された。Rap1に対して特異的なグアニンヌクレオチド交換促進活性を持つPLCεのCDC25類似ドメインを介したシグナルの自己増幅機構がRap1による持続的活性化に必要であった。Ras/Rap1によるPLCεの活性化は、BaF3細胞に対して増殖促進効果と細胞増殖因子飢餓により誘導されるアポトーシスの抑制効果を示した。マウスでの発現パターンの解析から、PLCεが胎生期に神経幹細胞の神経細胞系列への分化に際して強く発現誘導されることと、成体では心臓に良く発現されていることがわかった。この結果から、PLCεが神経細胞の発生・分化や心臓機能調節に関与する事が示唆された。実際、遺伝子ターゲッティングによりPLCε遺伝子ノックアウトマウスを作製したところ、生後4週令の早期から心臓の拡大と心不全マーカーの過剰発現の表現型が検出された。この結果より、PLCεは、心筋肥大における主要な細胞内情報伝達系であるカルシウム-カルシニューリン-NFAT経路とRas経路をつなぐ働きを有すると推論した。また、線虫(C. elegans)においても、PLCε遺伝子欠損株を得て、貯精嚢収縮不全による卵の子宮への移行障害に起因すると思われる不妊表現型を認めた。これは、貯精嚢の入口と出口の括約筋の拡張障害、特に両者の拡張の連係の異常に起因すると結論された。哺乳動物と線虫の表現型が筋肉の律動的収縮の異常という点で類似しているのは、興味深い。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Chunhua Song, et al.: "Differential roles of Ras and Rap1 in growth factor-dependent activation of phospholipase Cε"Oncogene. 21巻53号. 8105-8113 (2002)
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[Publications] Yoshiya Tanaka, et al.: "H-Ras/mitogen-activated protein kinase pathway inhibits integrin-mediated adhesion and induces apoptosis in osteoblasts"The Journal of Biological Chemistry. 277巻24号. 21446-21452 (2002)
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[Publications] Shinya Mitsuhashi, et al.: "Usage of Tautomycetin, a novel inhibitor of protein phosphatase 1 (PP1), reveals that PP1 is a positive regulator of Raf-1 in vivo"The Journal of Biological Chemistry. 278巻1号. 82-88 (2003)
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[Publications] Dongmei Wu, et al.: "Neuronal lineage-specific induction of phospholipase Cε expression in the developing mouse brain"European Journal of Neuroscience. (未定). (2003)
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[Publications] Kayo Hibino, et al.: "Single-and multiple-molecule dynamics of the signaling from H-Ras to c Raf-1 visualized on the plasma membrane of living cells"Chemphyschem. (未定). (2003)
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[Publications] 佐藤 孝哉, 他: "Rasを介するシグナル伝達と癌"Molecular Medicine. 39巻11号. 1238-1246 (2002)