2002 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病βアミロイド・ペプチド生成調節機構の分子生物学的解析
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13470035
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
西村 正樹 滋賀医科大学, 分子神経科学研究センター, 助教授 (40322739)
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Keywords | アルツハイマー病 / βアミロイド / γセクレターゼ / プレセニリン / ニカストリン |
Research Abstract |
アルツハイマー病の病原ペプチドと考えられるβアミロイド・ペプチド(Aβ)はβアミロイド前駆体蛋白(APP)から蛋白分解によって生成されるが、これに関わるプロテアーゼのうちγセクレターゼ活性には膜蛋白であるプレセニリンとニカストリンが必須であることが判明している。しかし、その活性発現メカニズムや活性調節機構には未だ不明な点も多く、その解明が本研究課題の目的である。 本年度はプレセニリンに結合する蛋白のうちγセクレターゼ活性に影響を与える分子を同定解析する目的でイースト2ハイブリッドスクリーニングを行った。その結果、新たなプレセニリン結合蛋白としてPBV-33とPBF-38を同定した。プレセニリンとの結合は哺乳類細胞での発現系を用いた免疫共沈によって確かめられた。これらはともにII型膜蛋白と予想され、前者は膜蛋白の細胞内輸送に、後者はカルシニューリン活性阻害に関わる機能が推測される。それぞれを過剰に発現する細胞株を樹立して解析したところ、前者は細胞のAβ分泌レベルを増加させ、後者は減少させた。しかしこれらがプレセニリンの発現レベルや細胞内局在に明瞭な影響を及ぼす所見は確認できていない。どのようなメカニズムによりAβ分泌レベルに変化を与えるのかなどを含め、さらに検討を続ける予定である。 本研究課題により、Aβ生成調節に働く新たな蛋白が同定されれば、それらを介したAβ生成抑制法を見出せる可能性があり、新たな治療法開発につながることも期待できる。
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Research Products
(1 results)