2002 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞の生存を支持する幹細胞由来神経生存因子(SDNSF)の単離と機能解析
Project/Area Number |
13470036
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田代 啓 京都大学, 遺伝子実験施設, 助教授 (10263097)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 淳 京都大学, 医学研究科, 助手 (10270779)
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Keywords | サイトカイン / 神経幹細胞 / 生存支持因子 / 幹細胞由来神経生存因子 / SDNSF / 分泌タンパク / カルシウム依存性 / 遺伝子欠損マウス |
Research Abstract |
神経幹細胞由来神経(SDNSF)の95%の純度のリコンビナントタンパク質を用いてSDNSFの神経幹細胞に対する生存支持活性と増殖活性を詳細に検討した。その結果、SDNSFには神経幹細胞に対する増殖活性が無いことが判明した。一方、神経幹細胞に対する増殖活性を有するFGF-2を除去した培地にSDNSFを添加すると、神経幹細胞は増殖せずに生存し続けた。6日間SDNSF存在下で生存維持した後の神経幹細胞を分化誘導して、神経細胞、アストロサイト、オリゴデンドログリアへの多分化能を維持していることを見出した。このことは、SDNSFが神経幹細胞を神経幹細胞に保ったことを示している。in situ hibridization法により、SDNSFの脳内の分布を検討し、海馬と海馬の隣のsubiculumに局在することを見出した。SDNSFにカルシウム結合モチーフがあるところから、培地中カルシウム濃度のSDNSFの生理活性への影響を検討したが、カルシウム濃度による幹細胞生存活性の増減は認められなかった。また、SDNSF産細胞からのSDNSFタンパク分泌量に変化は認められなかった。 SDNSF遺伝子欠損マウスを作製するためにマウスゲノムクローンを単離し、制限酵素・マッピングを行った。開始コドンATGを含む第2エキソンから第3エキソンまでをネオ解性遺伝子と置換して、かつ、ポジティブ選択用のtK遺伝子を3'側に付加したターゲティングベクターを構築した。現在、相同組み換えをおこしたES細胞を単離する作業を行っており、半年後を目途に遺伝子欠損マウスが誕生し、SDNSFの生体内解析を進める手はずになっている。
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