2001 Fiscal Year Annual Research Report
p53遺伝子欠損マウスにおけるENU誘発脳腫瘍の解析
Project/Area Number |
13470049
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
小田 秀明 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (40214142)
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Keywords | p53 / 脳腫瘍 / 遺伝子欠損マウス / アポトーシス |
Research Abstract |
1)個体レベルの解析:ENU投与時期と脳腫瘍の発生部位およびその組織像の関係を検索した。ENU投与時期をマウス妊娠早期および生後一週間、生後1ヶ月の各群に分け解析した。全ての群でp53ヌルの仔マウスのみに腫瘍が認められた。妊娠早期投与群ではp53の遺伝子型に関わらず胎児期死亡・吸収される例が多く特にヌル仔マウスの個体数は減少していた。この時期に発生した脳腫瘍はglioblastomaが主体であった(4/22)。また、生後1週間の群では小脳medulloblastomaの発生を認めた(7/18)。生後1ヶ月の群では脳腫瘍の発生は見られなかった。ENU投与直後の脳内アポトーシスはp53野生型とヘテロの個体のみに認められ、妊娠早期では大脳に、生後1週間では小脳顆粒層に限局しており脳腫瘍の発生部位とアポトーシスを生じた部位に一致を見た。2)細胞レベルの解析:本研究で得られた脳腫瘍の株化を試みた。大脳glioblastomaおよび小脳medulloblastomaの培養に成功し、継代を重ねている。また、少数ながら末梢神経由来のschwannnomaの培養も行った。現在、これらの細胞株の分子生物学的特性を検索中である。3)分子タンパクレベルの解析:腫瘍発生に重要な役割を果たしている遺伝子をENU投与直後のp53遺伝子型の違うマウス胎児の脳よりRNAを抽出し、脳腫瘍発生に関与する遺伝子をディファレンシャル・ディスプレイ法を用いて解析し、遺伝子20クローンを単離し塩基配列を決定した。これらは発生早期に発現する機能不明な遺伝子が多かった。現在構造解析を進めると共にp53との相関を検索中である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Ide, F., Oda, H. et al.: "Xeroderma pigmentosum group A gene action as a protection factor against 4-nitroquinoline 1-oxide-induced tongue carcinogenesis"Carcinogenesis. 22. 567-572 (2001)