2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13470054
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
松浦 晃洋 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (70157238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杵渕 幸 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教授 (30244346)
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Keywords | CD1 / 炎症 / 抗原提示 / 脂質 / 標的分子 / 細胞表面発現 |
Research Abstract |
CD1ファミリー分子は脂肪(脂質、糖脂質)を結合して、特殊なT細胞(NKT細胞、γδT細胞)を活性化し、様々なサイトカインを産生せしめ、また、細胞傷害活性を生じせしめ、自然免疫と獲得性免疫の橋渡しを担う分子であることが明らかにされつつある。私たちが対象としているCD1d分子は全ての哺乳類でその構造や発現様式が類似している。本年度の助成により先ず以下の基本的な事が明らかになった。(1)自己のCD1dを認識して反応する細胞は肝臓に多く存在すること、(2)それらの細胞の多くはCD3陽性CD161陽性の均一なVα14T細胞レセプターを発現する、(3)Vα14T細胞レセプターには相補的決定領域CDR2に多様性を有する複数(少なくとも4個)の遺伝子サブファミリーがあり、配列から2つのタイプに分類できる。(4)2タイプのVα14T細胞レセプターは臓器・組織ごとに異なる頻度で分布する(type1は脾臓にtype2は肝臓に多い)。以上のことから、NKT細胞は臓器・細胞ごとに異なる高次構造をとるCD1d・リガンド複合体を認識していることが示唆された。臓器・組織特異的な内因性リガンドの存在が推定され、正常および病的状態での内因性物質を特定する方向性を視野に入れる新しい方向性が開かれた。(5)また、肝臓でのCD1d発現は細胞質に多いが、刺激物質を投与すると肝細胞表面に急速に発現が増し、リンパ球浸潤も観察されるようになることを見いだした。このことは老化や癌化、薬剤やストレスなどによりCD1dの細胞表面への発現が増加したり、CD1d・リガンド複合体の性状が変化すると、その臓器に局在する組織特異的な性質を持った自己反応性のNKT細胞による傷害が起こり、変異した細胞を除去するという合目的可能性を印象付ける。 さらに、(6)CD1dの細胞質内ドメイン、細胞外ドメインの様々なモチーフ(endosomal localization signal,β2m結合領域、CD8結合領域、など)に部位特異的突然変異法により特異的な変異を導入し、また、Fidelityの低いポリメラーゼを用いてランダムに変異を導入したCD1d変異体を多種類作成した。(7)それらの変異体の細胞表面発現を検討し、いくつかのCD1d分子の特定領域が膜表面へのCD1d移送に重要であることを初めて明らかにした。 本研究により炎症におけるCD1dの直接的関与および修飾について解明する端緒が開かれた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Matsuura A., Kinebuchi M.: "Rat NKT cells and their invariant T cell receptors"Dev.Comp.Immunol.. (in press).
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[Publications] Mezawa S., Matsuura A, et al.: "Spontanenous rupture of renal metastasis of hepatocellular carcinoma : expression of CD1 by parenchymal cells"Cardiovasc.Intervent.Radiol. Vol 24. 143-144 (2001)
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[Publications] Kajino Y., Matsuura A.et al.: "Beta-Catenin gene mutation in human hair follicle-related tumors"Pathol.Intern. Vol 51. 543-548 (2001)
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[Publications] Kishi A., Matsuura A.et al.: "The cell surface-expressed HSC70-like molecule preferentially reacts with the rat T-cell receptor Vdelta 6 family"Immunogenetics. Vol 53. 401-409 (2001)
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[Publications] 松浦晃洋, 杵渕 幸: "CD1-その構造と機能の保存性と多様性-"日本組織適合性学会誌. 8巻・2号. 91-93 (2001)
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[Publications] Oya K., Kinubuchi M, Mastuura A: "Presymptomatic diagnosis of Wilson disease associated with a novel mutation of the ATP7B gene"Eur.J.Pediatr. Vol 161. 124-126 (2002)
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[Publications] 松浦 晃洋: "医科免疫学 第11章 遺伝子操作と免疫"南江堂. 16(538) (2001)