2004 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオーム解析によるサルモネラ属細菌の感染制御機構に関する研究
Project/Area Number |
13470058
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山本 友子 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (60110342)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
友安 俊文 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 助教授 (20323404)
高屋 明子 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 助手 (80334217)
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Keywords | サルモネラ / プロテオーム / マクロファージ / 病原性 / ClpXP |
Research Abstract |
サルモネラの病原戦略分子機構の解明を目的として、サルモネラがマクロファージ貧食後に誘発する蛋白質Macrophage Induced Protein (MIP)のプロテオーム解析を行い、同定されたMIPのひとつATP依存型プロテアーゼClpXPのサルモネラの病原性発現における機能を解析し、以下の事柄を明らかにした。 ClpXP破壊株はマウスに対する病原性を失い、長期にわたり持続感染することを見出した。病原性の低下はマクロファージ内増殖能の低下に基づくものであった。破壊株ではSalmonella Pathogeneicity Island 2にコードされるいくつかの蛋白質の産生量の低下に加え、最も顕著な変化として細胞表層画分にPagCが多量に含まれることを見出した。PagC増加の原因を明らかにするため、遺伝子発現ならびに蛋白の安定性の検討を行った。その結果、破壊株ではPagC蛋白の安定性が増加していることが明らかとなった。さらに、シグマ因子RpoSによりその転写が活性化される未知の蛋白質XがPagCの安定性を制御していることが明らかとなった。 PagCがOMV (outer membrane vesicle)として細胞外へ放出される仮説を立て、検証を行った。電子顕微鏡観察の結果、ClpXP破壊株およびPagC過剰生産株の培養上清には野生株に比べ大量のOMVが産生されていることが明らかとなった。さらに、サルモネラのOMVの主要な構成成分はPagCであり、OMVを介して何らかの蛋白質を細胞外へ輸送していると考えられた。ClpXP破壊株を感染させたマクロファージは、感染16時間後に菌体の周囲に大量のsmall vesicleを産生することを見出した。従ってマクロファージ細胞質へ放出されたOMVがサルモネラの病原レベルをコントロールする可能性が考えられた。
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Research Products
(4 results)