2001 Fiscal Year Annual Research Report
百日咳菌壊死毒の特異的受容体の同定と細胞内移行経路の解析
Project/Area Number |
13470059
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堀口 安彦 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (00183939)
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Keywords | 百日咳菌 / 壊死毒 / furin / 細胞内移行 |
Research Abstract |
百日咳壊死毒の標的細胞内移行経路を解析し、以下のような知見を得た。 壊死毒の細胞結合ドメイン中の41-44アミノ酸残基の領域に、動物細胞に豊富なエンドプロテアーゼのfurinの認識モチーフが存在することを見出した。壊死毒は実際に試験管内において、このモチーフの位置でfurinによって切断を受けた。切断後に生じる二つのペプチド断片は、非共有結合で相互に会合していることが分かった。あらかじめfurin処理し、ペプチド結合に切れ目の入った壊死毒はintactな壊死毒に比べて約30倍程度細胞に対する活性が高く、作用発現までに要する時間も明らかに短縮した。反対に、furinモチーフのアミノ酸を置換し、furinによる切断を受けなくした変異毒素は細胞に対する活性を示さなかった。 furinモチーフからC末端側の壊死毒断片(delta B)を作製した。delta Bは全長の壊死毒と異なり、人工脂質二重膜のレポソームを会合した。さらにdelta Bを種々の細胞に作用させたところ、delta Bは本来全長壊死毒に非感受性の細胞を含めた共試細胞全てに作用した。細胞内小胞輸送の諸過程を阻害する試薬(バフィロマイシン、ブレフェルディン、フィリピン、サイトカラシン、ノコダゾールなど)の存在下でも、壊死毒の細胞に対する作用は影響を受けなかった。以上のことから、壊死毒は標的細胞上の受容体と結合した後、1)furinあるいはfurin様プロテアーゼによって切断を受け、2)受容体結合部位を除く断片(delta B)が自働的かつ非特異的に細胞膜と相互作用して活性断片を細胞質内に転位させると考えられた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Umata, T.: "A dual signaling cascade that regulates the ectodomain shedding of heparin-binding epidermal growth factor-like growth factor"J. Biol. Chem.. 276・(32). 30475-30482 (2001)
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[Publications] Horiguchi, Y.: "Escherichia coli cytotoxic necrotizing factors and Bordetella dermonecrotic toxin : the dermonecrosis-inducing toxins activating Rho small GTPases"Toxicon. 39・(11). 1619-1627 (2001)
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[Publications] Masuda, M.: "In vivo modifications of small GTPase Rac and Cdc42 by Bordetella dermonecrotic toxin"Infect. Immun.. 70・(2). 998-1001 (2002)