2002 Fiscal Year Annual Research Report
百日咳壊死毒の特異的受容体の同定と細胞内移行経路の解析
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13470059
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堀口 安彦 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (00183939)
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Keywords | 百日咳菌 / 壊死毒 / 膜受容体 / Rho |
Research Abstract |
百日咳菌壊死毒(DNT)の宿主細胞膜受容体と細胞内移行経路の解析を以下のようにおこなった。DNT受容体遺伝子の一過性発現クローニングのためのスクリーニング条件を検討した。DNTは標的細胞のRhoファミリーGTP結合タンパク質を活性化する。これを利用してRhoによって活性化する転写因子serum response factorの認識配列を含むプロモーター/エンハンサー領域にルシフェラーゼあるいは緑色蛍光タンパク質の遺伝子を連結したレポータープラスミドを作製して種々の培養細胞株に導入し、Rhoの活性化状態によるレポーター遺伝子発現の変化とDNTに対する反応性を検討した。その結果、Rhoの優性活性型変異体の強制発現やDNTの培養液への添加によって、レポーター遺伝子の発現が優位に増大することがわかった。特にDNTによるレポーター遺伝子の発現増大は、DNTに高感受性を有するMC3T3-E1細胞で顕著であった。この結果から、同様のレポーターアッセイ法を用いてDNT受容体の一過性発現を検出できることが示唆された。現在、これを利用するための最適条件を検討している。一方、本研究課題のこれまでの成果によって、DNTが宿主側プロテアーゼによってN末端側で切断を受けることが本毒素の細胞内移行のために必須であり、切断されたのち残されたC末端領域(delta B断片)が自律的に細胞膜を通過して細胞内に侵入することが明らかにされてきた。delta B断片には、ヒト免疫不全ウイルスのTatタンパクに存在する細胞膜通過シグナルと相同性のある領域が存在する。しかし、この相同領域を欠失したDNTは細胞に対する毒素活性を消失しなかったので、DNTの細胞内移行にはこのTat相同配列は関与しないことがわかった。現在、Tat配列の上流に存在する膜貫通ドメインのDNTの細胞内侵入機構における役割を解析している。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Shime, H.: "Association of Pasteurella multocida toxin with vimentin"Infect.Immun.. 70・(11). 6460-6463 (2002)
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[Publications] Hong, Y.: "Requirement of N-glycan on GPI-anchored proteins for efficient binding of aerolysin but not Clostridium septicum α-toxin"EMBO J.. 21・(19). 5047-5056 (2002)
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[Publications] Matsuzawa, T.: "Identification of a receptor-binding domain of Bordetella dermonecrotic toxin"Infect.Immun.. 70・(7). 3427-3432 (2002)
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[Publications] Masuda, M.: "In vivo modifications of small GTPase Rac and Cdc42 by Bordetella dermonecrotic toxin"Infect.Immun.. 70・(2). 998-1001 (2002)
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[Publications] Akeda, Y.: "Dominant-negative Rho, Rac, and Cdc42 facilitate the invasion process of Vibrio parahaemolyticus into Caco-2 cells"Infect.Immun.. 70・(2). 970-973 (2002)