2001 Fiscal Year Annual Research Report
Lnkファミリーアダプター蛋白質による増殖・分化シグナル制御の分子機構
Project/Area Number |
13470069
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高木 智 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (10242116)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
刈米 アイ 東京大学, 医科学研究所, 教務職員 (50114450)
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Keywords | 増殖、分化 / シグナル伝達 / Lnk / APS / SH2-B / アダプター蛋白質 / B細胞 / 造血幹細胞 |
Research Abstract |
lnk欠損マウスではB前駆細胞の過剰増殖によるB系細胞の増加が認められた。lnk欠損骨髄前駆細胞は、正常前駆細胞が反応できない低濃度のSCF(stem cell factor)にも反応し、正常より多くのかつ大きなコロニーを形成した。B細胞過剰産生の一因はlnc欠損によりc-kitを介する増殖シグナルが増強されるためであることが考えられた。 SCFは造血前駆細胞の主要な増殖因子であるので、より未熟な造血前駆細胞でのlnk欠損の影響を検討した。lnk欠損マウスでは、造血幹細胞を含む分化抗原陰性c-Kit陽性Sca-1陽性分画が増加しており、骨髄移植後12日目にCFU-Sを形成する多能性前駆細胞も増加していた。競合的骨髄再構築(competitive repopulation)法により造血幹細胞の造血能を評価したところ、B細胞ばかりでなくT細胞や骨髄球系細胞の大部分もlnk欠損前駆細胞から産生され、造血幹細胞の造血能がInk欠損により飛躍的に亢進することがわかった。lnk欠損マウスをc-kit膜貫通部に欠失を持つWマウスを交配したところ、lnk欠損W/+マウスでは分化抗原陰性c-Kit陽性Sca-1陽性細胞分画が正常化に向かい、造血前駆細胞の増加はc-Kitシグナルの増強が主因と考えられた。一方造血能の亢進はlnk欠損W/+マウスでも正常化せず、Lnk依存性ではあるがc-Kitに依存しないシグナル伝達系の制御破綻も関与している可能性が示唆された。Lnkによるc-Kit増殖シグナルの制御機構について、c-KitおよびIL-3Rを発現するマスト細胞株を用いて検討した。LnKの発現量に応じてSCF依存性増殖が阻害される一方、IL-3依存性増殖は影響を受けず、Lnkの増殖抑制作用はc-Kit特異的と考えられた。c-Kit活性化に伴う細胞内蛋白質のリン酸化を検討したところ、LnkはGab2リン酸化、それに続くMRPK活性化を抑制し増殖シグナルを抑制することが考えられた。 また、Lnkファミリー蛋白質群の生理作用を明らかにするため、APS欠損マウス、SH2-B欠損マウスを作製し、解析を開始した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Takaki, S.: "Enhanced hematopoiesis by hematopoietic progenitor cells lacking intracellularadaptor protein, lnk"J.Exp.Med.. 195. 151-160 (2002)
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[Publications] Ohtsuka, S.: "SH2-B is required for both male and female reproduction"Mol.Cell.Biol.. (印刷中). (2002)
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[Publications] Moon, B.G.: "Functional dissection of the cytoplasmic subregions of the IL-5Rα chain in growth and lgG1 switch recombination of B cells"Immunology. 102. 289-300 (2001)
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[Publications] Kouno, T.: "Bruton's tyrosine kinase is required for signaling the CD79b-mediated pro-B to pre-B cell transition"Int.Immunol.. 13. 485-493 (2001)
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[Publications] Yamada, A.: "Identification and characterization of a transcriptional regulator for the lck proximal promoter"J.Biol.Chem.. 276. 18082-18089 (2001)