2004 Fiscal Year Annual Research Report
桜島火山からの大気放射性核種の線量評価と肺がんリスクの検討(患者・対照調査)
Project/Area Number |
13470083
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
秋葉 澄伯 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (50145554)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 裕司 放射線医学総合研究科, ラドン研究グループ, グループリーダー (20166739)
床次 眞司 放射線医学総合研究科, ラドン研究グループ, 主任研究員 (80247254)
|
Keywords | 桜島火山 / 大気放射性核種 / ラドン / トロン / 肺がん |
Research Abstract |
i)活動性火山である桜島、霧島山に隣接した居住地域である鹿児島市、霧島町、垂水市の屋外におけるラドンとその子孫核種濃度を測定した。その結果、鹿児島市は3Bq/m^3、霧島町は5Bq/m^3であった、これは国内平均濃度5Bq/m^3と比べ有意差が見られなかった。しかし、垂水市内においては異例の高濃度事象(50Bq/m^3)を頻回に計測した。さらに、気象データを観測し、気象に関わる各種の変数がラドンとその子孫核種濃度に与える影響を検討した。その結果、ラドンとその子孫核種濃度と二酸化硫黄あるいは浮遊粒子状物質濃度との間には相関が見られなかったが、降灰量との間には相関が見られた。 ii)呼吸器疾患を持たない集団である一般対象家屋の屋内ラドンとその子孫核種濃度を測定した。その結果、鹿児島市は14.5Bq/m^3、霧島町は14.5Bq/m^3、垂水市は平均11(最低値5最高値24)Bq/m^3であった、これは国内平均濃度15.5Bq/m^3と比べ有意差が見られなかった。 iii)しかし、垂水市内において肺がんの発生リスクが高いことから患者・対照調査を行った。対象者は、肺がん、慢性呼吸器疾患等の患者とし質問票調査並びに家屋での屋内ラドンとその子孫核種濃度を測定した。その結果、ある肺がん患者の家屋でラドン濃度が43Bq/m^3、その子孫核種濃度が90Bq/m^3と高い濃度を計測した。これらの放射能濃度を年間実効線量当量に換算すると約10mSvとなり、国際放射線防護委員会が勧告している一般公衆に対する年限度の1mSvに比べて非常に高い値となった。 iv)既に欧米では屋内のラドン濃度が深刻な問題になっている。日本においても、ラドン濃度と肺がん等の健康影響を実証する上で、今後も継続してデータの収集に努める必要がある。
|