2002 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者のライフスタイルが機能的健康と長期ケア利用に及ぼす影響に関する縦断研究
Project/Area Number |
13470091
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
大原 啓志 高知医科大学, 医学部, 教授 (00033209)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 充彦 高知医科大学, 医学部, 助手 (80346709)
杉原 由紀 高知医科大学, 医学部, 助手 (90304675)
安田 誠史 高知医科大学, 医学部, 助教授 (30240899)
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Keywords | 高齢者 / 身体機能 / 保健習慣 / 縦断研究 |
Research Abstract |
本縦断研究は、在宅高齢者を対象に、ライフスタイルと、身体機能遂行能低下、日常生活動作能力低下、ケアサービス長期利用という3つの健康事象との関連を明らかにすることを目的とする。本年度は、昨年度の検討で、客観的測定結果との間で併存妥当性を持つことが確認された、四肢機能5項目(重量物押し引き、軽量物運搬、前屈位、上肢挙上、指先作業)遂行時の困難感を尋ねる質問票を使い、追跡調査時点での四肢機能低下に関連する保健習慣を明らかにした。研究対象地域(高知県大月町)で行ったベースライン質問紙調査で、研究参加に同意し、四肢機能5項目どれにも困難がないと回答した65歳以上在宅高齢者のうち、追跡調査時点の四肢機能調査票に回答した1,080名を解析対象とした。保健習慣としては、睡眠に関する項目(睡眠時間、入眠困難感、夜間覚醒、早朝覚醒、覚醒時の十分眠れた感じ)、身体活動度(歩いて外出する頻度、屋外軽労作をする頻度)、現在喫煙、飲酒頻度をとりあげた。多重ロジスティック回帰モデルをあてはめ、性、年齢を調整して、各保健習慣と追跡時の四肢機能低下(困難があると回答した機能が1つ以上ある場合を低下)との関連を検討した。モデルには、各保健習慣を別々に投入した。四肢機能低下に有意に関連したのは、睡眠時間非至適〔至適に対する調整オッズ比OR=1.8(95%信頼区間1.3-2.6)〕、朝十分眠れた感じなし〔ありに対する調整OR=2.0(1.2-3.6)〕、歩いて外出非頻回〔頻回に対する調整OR=1.5(1.0-2.1)〕、定期的運動習慣なし〔ありに対する調整OR==1.8(1.2-2.6)〕であった。高齢者の睡眠時間、睡眠の質、身体活動度が、四肢機能低下の危険因子として意義を持つことが示唆された。なお、追跡時点の健康事象に関する情報を、対象地域の役場担当部署の協力を得て収集し、解析用データファイルからは個人識別情報を削除した。このような倫理的配慮を行って研究を進めた。
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