2003 Fiscal Year Annual Research Report
ディーゼル排気微粒子の生殖器影響とフラボノイド含有食品による影響防止に関する研究
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13470093
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Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
嵯峨井 勝 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (80124345)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井澤 弘美 青森県立保健大学, 健康科学部, 助手 (20315534)
鈴木 孝夫 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (60113809)
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Keywords | ディーゼル排気微粒子(DEP) / DEPの皮下投与 / 生殖異常 / 精子の奇形 / マウスの系統差 / Ah受容体 / フラボノイド / ケルセチン |
Research Abstract |
本研究は、ディーゼル排気微粒子(DEP)が精巣や精巣上体での精子産生能力ならびに精子の形態異常、或いはそれら組織の形態に及ぼす影響を調べることと、それらの影響がどのようなメカニズムで生じるのかを明らかにし、最終的にはこれらの生殖毒性を食品の摂取で低減することが可能かどうかを検討することを目的としている。 (1)我々は昨年までに、DEPの生殖毒性の発現にはArylhydrocarbon Receptor(AhR)が関与する可能性を考え、AhR活性の異なる4系統マウスにDEP懸濁液を投与して、AhR活性の間接指標としてのEROD(Ethoxy resorufin-O-deethylase)活性と精子産生能力を調べたところ、両者の間に非常に高い負の相関があることを見出し、精子産生能力にAhR活性が深く関与していることを見出してきた。 (2)本年度は、(1)の再現性確認実験を行った。それと共に、精子の成熟に重要な組織である精巣上体での精子の生存率および精子形態異常(奇形)について検討した。実験は前年度と同様のBALB/c系、C57BL系、DBA系およびICR系の4系統の雄マウスを用いて行い、それらマウスの精巣上体での精子の奇形率がAhR活性の間接指標であるEROD活性との間に正の相関を示した。特に、精子奇形の中でも、midpiece異常率との間で相関が高かった。このことは、精巣での精子産生とともに精巣上体での精子の成熟過程での奇形化にもAhR活性が深く関与していることを示している。さらに、DEP投与後には、精巣上体の管壁のうち上皮細胞層は薄くなり、その周囲の基底層が肥厚している事などが観察され、この組織的変化が精子の成熟過程を阻害していることが示唆された。 (3)本年度はさらに、DEPの環境ホルモン様作用を低減させる食品成分の検索をおこなった。上記のように、AhR活性が精子産生能や精子の形態異常(奇形)などと関連が深いことが示されたので、本研究では、文献的にAhRに対して阻害作用を持つフラボノイドイド3種類を選びAh-immunoassay法にてAhR阻害活性を調べたところ、ケルセチン>ミリセチン>レズベラトロールの順で、しかも非常に低い、生体内でありうる濃度で阻害していることが判明した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Matsuo M, Sagai M, et al.: "Diesel exhaust particle-induced cell death or cultured normal human bronchial epithelial cells."Biol Pharm Bull.. 26. 438-447 (2003)
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[Publications] Amakawa K, Sagai M, et al.: "Suppressive effects of diesel exhaust particles on cytokine release from human and murine alveolar macrophages."Exp Lung Res.. 29. 149-164 (2003)
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[Publications] Ichinose T, Sagai M, et al.: "Differences in airway-inflammation development by house dust mite and diesel exhaust inhalation among mouse strains."Toxicol Appl Pharmacol.. 187. 29-37 (2003)
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[Publications] Takizawa H, Sagai M, et al.: "Diesel exhaust particles upregulate eotaxin gene expression in human bronchial epithelial cells via nuclear factor-kappa B-dependent pathway."Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol.. 284. L1055-L1062 (2003)
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[Publications] Yoshino S, Sagai M, et al.: "Effect of diesel exhaust particle extracts on collagen-induced arthritis in mice."Autoimmunity. 35. 57-61 (2002)
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[Publications] Yoshino S, Sagai M, et al.: "Effect of diesel exhaust particle extracts on induction of oral tolerance in mice"Toxicol. Sci.. 66. 293-297 (2002)