2001 Fiscal Year Annual Research Report
破局的ストレスとコーピングスタイルが内分泌系と記憶・感情機却に作用する機序の解明
Project/Area Number |
13470100
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
内富 庸介 国立がんセンター, 精神腫瘍学研究部, 部長 (60243565)
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Keywords | ストレス / 想起 / 海馬 / 扁桃体 / 全脳 / MRI / 体積 / がん |
Research Abstract |
【目的】海馬はストレス対処機構を制御する一方、ストレスに脆弱である。また、ストレスが扁桃体を介して海馬に影響する可能性が示唆されている。本研究では、頭部MRIによる海馬、扁桃体測定手技の開発及び破局的体験であるがん体験後に認められる、がんに関連した苦痛な想起の有無と海馬、扁桃体体積との関連を検討する。【方法】国立がんセンター倫理委員会の承認後、開示文書を用いて研究の目的を説明し、参加者から文書による同意を得て行った。破局的な体験後に認められる、苦痛な想起の有無と海馬、扁桃体の関連を検討する目的で、国立がんセンター東病院にて初発乳がんの手術後1年以内または3年以上経過した女性のうち、55歳以下の者、また、健常対照群として年齢、性をマッチさせた健常ボランティアを募集した。がんに関連する反復的で侵入的で苦痛な想起の有無は構造化面接法を用いて調べた。海馬、扁桃体積測定のために、頭部3D-MRIを施行した。各脳部位体積の評価者内信頼性を級内相関値で評価した。【結果(平成13年度の実施状況)】海馬、扁桃体体積の評価者内信頼性(30例)は0.94-0.99と良好な値を得た。現時点で術後3年群の海馬体積測定対象者67名及び扁桃体体積測定対象者76名、術後1年群127名(目標130例)、健常対照群64名(目標70例)の参加を得た。術後3年群では、海馬体積測定対象者67名中28名(42%)に苦痛な想起を認めた。左海馬体積は想起あり群で2535±249mm^3、なし群で2667±242mm^3で、統計学的に有意な差を認めたが、右海馬体積には有意な差を認めなかった。扁桃体体積測定者76名中35名(46%)に想起を認めた。左扁桃体体積は想起有り群で1330±150mm^3、なし群で1411±155mm^3であり、統計学的に有意な差を認めたが、右扁桃体には有意な差を認めなかった。【考察】体積測定手技の信頼性は十分であった。また、がんに関連する苦痛な想起と左海馬及び左扁桃体体積との関連が示唆された。
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