2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13470104
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
原 健二 福岡大学, 医学部, 講師 (00090738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三好 綾 福岡大学, 医学部, 助手 (70309920)
柏木 正之 福岡大学, 医学部, 助手 (70301687)
柏村 征一 福岡大学, 医学部, 教授 (70004710)
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Keywords | スペルミン / 尿 / 化学分析 / 剖検試料 / GC / MS / IIPLC / 死因との因果関係 / 化学診断 |
Research Abstract |
スペルミン(SP)は、細胞の増殖・分化に重要な役割を果たしているといわれている。しかし、その役割には未だに不明な点が多い。また、ARDS(成人性呼吸停止症候群)、火傷の皮膚の再生期に、SPが尿に極めて大量に排泄されたという報告もあるが、確信的ではない。一方、我々は法医剖検等の試料から薬物スクリーニングを行っているが、時折SPが尿中に非常に高レベルで検出されることがわかった。そこで、剖検尿のSP検出を行い、生体の障害との関連を調査するために、本研究を計画した。平成13年度は、我々の薬毒物スクリーニング法(アミン類のガスクロマトグラフィー・質量分析法GC/MS)により、剖検尿試料ならびに重体患者尿試料(検査依頼を受けたもの)を分析し、検出の頻度並びに死因等について調査した。また、この検出を基準化する必要があるので、簡素な定量法作成の基礎的研究に取り掛かった。剖検尿63例を測定した結果を解析した。障害発生後死亡までの時間が短時間であった例ではSPはほとんど検出されなかったが、死亡まである程度以上の時間を経過したものにSPが検出されたものが多く、その中には疾病によるクモ膜下出血、急性心不全、熱傷、有機リン農薬中毒、覚せい剤中毒などがあった。重体患者の尿分析(25例)では、検出の割合が高く、肺炎、喘息発作の低酸素脳症、アナフィラキシーショック、溺水、クモ膜下出血などがあった。上のような結果を得たので、この方法の定量性を調べたところ、分析を標準化するのには再現性が悪く、今後GC/MS分析を行うためには試料調製の検討が必要であることがわかった。また、通常のポリアミン分析の高速液体クロマトグラフィー分析も試みたが、SPの分析精度はよくないことがわかった。検出できるものには、酸素欠乏、多臓器不全等に関わる意味があるようであり、今後、その実験的証明の検討ならびに分析の精度の向上を行っていく。
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