2001 Fiscal Year Annual Research Report
インターロイキン-17によるヒト腸管由来筋線維芽細胞機能の制御に関する研究
Project/Area Number |
13470119
|
Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
安藤 朗 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (90252395)
|
Keywords | IL-17 / IBD / 炎症 |
Research Abstract |
本年の研究により、ヒト大腸筋線維芽細胞からIL-17刺激により以下の反応が惹起されることを確認した。IL-17により、筋線維芽細胞からIL-8およびMCP-1などのケモカインの産生が誘導されること。また、IL-17刺激によりIL-6の産生が誘導されること。IL-17は、IL-1やTNFにより誘導されるケモカイン、IL-6産生を著明に増強すること。これらの反応において、IL-17がNF-κBやMAPキナーゼの活性化を誘導することにより効果を発揮していること。さらに、IL-17はTNFにより誘導されるIL-6のpromoter活性には影響しないが、IL-6のmRNAの安定性を増強することにより、IL-6産生においてTNFと相乗効果を示すこと。さらに、臨牀材料を用いた検討から、潰瘍性大腸炎やクローン病患者の病変粘膜においては、著明なIL-17産生細胞の集簇がみとめられること。以上の知見から、以下の結論が得られた。ヒト大腸筋線維芽細胞が著明なIL-8やMCP-1などのケモカインやIL-6の産生を介して腸管粘膜における炎症反応において重要な役割を演じていること。さらにT細胞に由来するIL-17は、単球・マクロファージ由来のIL-1やTNFなどのモノカインと同様な炎症性サイトカインとしての性格を有しているが、炎症性腸疾患の病態において重要な役割をはたしていること。今後、他のサイトカインや炎症メデイエーターの産生に対する効果を検討して、さらなる筋線維芽細胞とIL-17の役割について検討していく予定である。
|