急性膵炎及び膵癌におけるアポトーシス及び抗アポトーシス調節機構の解明

2001 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 13470123
• Research Institution: University of Occupational and Environmental Health, Japan
• Principal Investigator: 大槻 眞 産業医科大学, 医学部, 教授 (00030916)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 木原 康之 産業医科大学, 医学部, 助手 (80279330) ; 秋山 俊治 産業医科大学, 医学部, 助手 (10320350) ; 中村 早人 産業医科大学, 医学部, 助教授 (90207902)
• Keywords: Survivin / 急性膵炎 / 膵管細胞 / 腺房細胞

Research Abstract

急性膵炎の病態は未だ十分に解明されていないが、アポトーシスがその病態及び重症化に関与していることが推測されている。Inhibitor of apoptosis (IAP)ファミリーは、アポトーシスを抑制する蛋白で、IAPファミリーの一つであるsurvivinには抗アポトーシス効果や細胞増殖促進効果がある。しかし、急性膵炎におけるsurvivinの関与は全くわかっていない。このため我々は急性膵炎におけるsurvivinの発現を検討した。Wistar系雄性ラット(体重160-170g)を用いて、4%タウロコール酸(NaTc)1ml/kg体重を逆行性に膵管内に注入し、出血性壊死性膵炎を作製した。膵炎作製前と膵炎作製12、24、36、48、72時間後に犠牲死させ、膵の一部よりAGPC法でRNAを抽出し、Northern blot法でsurvivin mRNAの発現を検討した。また、膵組織を用いて免疫組織学的にsurvivin蛋白の局在を検討した。さらに、膵組織を用いてTUNEL染色を行い、アポトーシスの誘導を観察した。膵炎作製前に膵にsurvivin mRNAの発現は認めなかったが、survivin mRNAの発現は膵炎作製36時間以降に作製前に比し著明に増加した。Survivinのimmunoreactivityは正常膵組織には認めなかった。膵炎作製48時間後の組織では膵管細胞の細胞質及び核にSurvivinのimmunoreactivityを認めた。一方、腺房細胞においては核のみにimmunoreactivityを認めた。TUNEL染色では、膵腺房細胞に、TUNEL陽性細胞を認めた。NaTc膵炎後にのみに発現する膵管細胞のsurvivinはNaTc膵炎後の膵再生に何らかの役割を演じている可能性がある。