2001 Fiscal Year Annual Research Report
高山病および高地肺水腫の発症機序と個体感受性に関する基礎的および臨床的検討
Project/Area Number |
13470126
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
久保 恵嗣 信州大学, 医学部, 教授 (80143965)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 正穂 信州大学, 医学部, 講師 (50115333)
藤本 圭作 信州大学, 医学部, 助教授 (70242691)
本田 孝行 信州大学, 医学部, 助教授 (80238815)
花岡 正幸 信州大学, 医学部・附属病院, 助手 (20334899)
小泉 知展 信州大学, 医学部・附属病院, 講師 (20273097)
|
Keywords | 高知肺水腫 / VEGF / 気管支肺胞洗浄 / 硝子膜 / 免疫染色 / 肺サーファクタント / II型肺胞上皮細胞 / 肥満細胞 |
Research Abstract |
1、高地肺水腫患者のvascular endothelial growth factor (VEGF)について VEGFは血管透過性冗進因子であり、低酸素環境下でその発現が増強する。高地脳浮腫の発症にVEGFの関与が指摘されている。また、過剰なVEGFは肺水腫を惹起する。そこで高地肺水腫患者の末梢血中および気管支肺胞洗浄液中のVEGF濃度を測定した。その結果、入院時のVEGF濃度は末梢血中で健常者と同程度であったが、気管支肺胞洗浄液中では有意な低値を示した。一方、回復時には血中VEGF濃度の有意な上昇を認めた。さらに、高地肺水腫剖検肺の免疫染色でVEGFは陰性であった。以上から、VEGFは高地肺水腫の発症と進展ではなく、その回復期において障害された血管内皮細胞の修復に役割を果たしている可能性が示唆された。 2、高地肺水腫剖検肺の病理組織所見について 高地肺水腫死亡例4例の剖検肺の病理組織所見を検討した。肺の組織像は、滲出液が充満した肺胞と、硝子膜形成および炎症細胞浸潤を示し、毛細血管の拡張や欝血が認められた。また、ときに細動脈に血栓やフィブリン塊を認めた。しかし、肺胞構造そのものは保持されており、いわゆるdiffuse alveolar damage (DAD)とは異なった。これは、高地肺水腫が適切な治療により、速やかに改善する事実と関連していると考えられた。 また、そのうち1例に肺の免疫染色を施行した。その結果、肺サーファクタントの脱落、II型肺胞上皮細胞の融合と変性、および肥満細胞の集簇を認めた。すなわち、肺サーファクタントやII型肺胞上皮細胞の障害、および肥満細胞から放出される種々のメディエーターが高地肺水腫の進展に関与する可能性が示唆された。
|
Research Products
(1 results)