2002 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子操作マウスを用いた喫煙刺激により誘導される肺病変の解析
Project/Area Number |
13470130
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Research Institution | JUNTENDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
福地 義之助 順天堂大学, 医学部, 教授 (80010156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 和久 順天堂大学, 医学部, 講師 (80245711)
瀬山 邦明 順天堂大学, 医学部, 講師 (10226681)
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Keywords | 肺気腫 / SMP30 / 加齢 / ノックアウトマウス / 気道上皮細胞 / アポトーシス |
Research Abstract |
肺気腫は、終末細気管支以降の肺実質の破壊を伴う気腔の異常拡大がその病態であり、平均発症年齢が60歳台の高齢者に発症し、生理的現象である加齢とともに発症、進展する疾患である。SMP30(Senescence Marker Protein-30/老化マーカー蛋白質SMP30)は性ホルモンに影響を受けず加齢とともにラット肝臓で発現量が減少する蛋白として同定され、高齢者疾患との関連性が注目されている。SMP30は肺での発現も確認されており、高齢者肺疾患との関連性が期待される。平成13年度では、SMP30の肺における生理的役割を知る目的で、マウス肺におけるSMP30発現の局在と加齢にともなう発現変化、そしてSMP30ノックアウト(KO)マウスの作成と肺病理所見を検討した。その結果、C57BL/6マウス肺においては気道上皮細胞、クララ細胞、肺胞マクロファージ、形質細胞が抗SMP30抗体を用いた免疫染色を行うことにより陽性に染色されること、また、SMP30は生後1カ月の肺においてすでに発現し、生後6〜12ヶ月で最大となり、以後加齢と共に減少することを明らかにした。さらに、平成13年度から14年度にかけてSMP30KOマウスと野生型対照C57BL/6マウスの肺病理像と比較した。その結果、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の各月齢において野生型にくらべてKOマウス肺の平均肺胞径増加を認め、かつ肺胞破壊指数は正常範囲内であったことから、SMP30KOマウスが加齢肺モデルとなることが明かとなった。KOマウスの肝細胞はTNFαやFasによるアポトーシス感受性が亢進していることから、SMP30KOマウスは、加齢、有害微粒子吸入による気道炎症と肺細胞アポトーシスが発症に関与すると推測される慢性閉塞性肺疾患のモデルとなりうると考え、慢性タバコ煙曝露実験を行った。ケンタッキー大学研究用タバコ1R1を用い、1%タバコ煙を1日30分、週5日間、1ヶ月間喫煙させ、現在、肺病理所見、BAL所見を検討中である。
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