2001 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病のニューロン・グリア分子病態の解明及び治療法開発に関する研究
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13470133
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
下濱 俊 京都大学, 医学研究科, 助教授 (60235687)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 佳久 京都薬科大学, 薬学部, 助教授 (60195295)
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Keywords | アルツハイマー病 / ニコチン性受容体 / 神経保護 / PI3Kinase / Aβ / BiP / GRP78 / ミクログリア / クリアランス |
Research Abstract |
初代培養ラット大脳皮質細胞を用いた実験系でAβ誘発グルタミン酸神経毒性に対し、ニコチンは神経保護作用を示した。その保護効果はPI3K阻害剤で抑制され、また、ニコチンによりAktのリン酸化が認められた。ニコチンの保護効果は選択的α7ニコチン性受容体拮抗薬のαブンガロトキシン(αBTX)で抑制され、タンパク合成阻害薬であるシクロヘキシミドで抑制された。Aktのリン酸化はαBTXで抑制された。また、ニコチンの保護効果は非受容体型チロシンキナーゼインヒビターであるPP2で抑制され、ニコチンによるリン酸化型Aktの増加をPP2が抑制した。免疫沈降でα7受容体とSrcファミリーであるFyn、PI3Kが共沈した。以上の結果より、ニコチンはα7ニコチン性受容体を介してPI3K系を活性化し、何らかのタンパク質合成を経てAβ誘発神経毒性に対して保護効果を発揮することを示した。 BiP/GRP78は小胞体に存在する分子シャペロンであり、またストレス条件下において誘導され、細胞機能の維持に重要な役割を持っている。Aβは生理的条件下でも産生されているペプチドであり、産生と分解・クリアランスのバランスが保たれなくなることにより、蓄積すると考えられる。今回、リコンビナントBiP/GRP78タンパク質のラットミクログリア細胞への作用およびAβのクリアランスについて検討を行った。その結果、Bip/GRP78タンパク質の処理により、IL-6、TNF-aの産生が認められた。このサイトカイン産生能はBiP/GRP78タンパク質の熱処理(100.b、20min)により消失した。同様の処理により、Aβ(1-42)の取り込み量およびAβを取り込んだミクログリア細胞数の増加が認められた。これらの結果より、BiP/GRP78はミクログリアの活性化、およびAβのクリアランスに対して促進的に作用することが示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kakimura J et al.: "Bip/GRP78-induced production of cytokines and uptake of amyloid β(1-42) peptide in microglia"Biochem Biophys Res Commun. 281. 6-10 (2001)
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[Publications] Shimohama S. et al.: "Nicotinic receptor-mediated protection against beta amyloid neurotoxicity"Biological Psychiatry. 49. 233-239 (2001)
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[Publications] Kihara T. et al.: "Alpha 7 nicotinic receptor transduces signals to P13 Kinase to block a Aβ-induced neurotoxicity"Journal of Biological Chemistry. 276. 13541-13546 (2001)
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[Publications] Hirai K et al.: "Mitochondrial abnormalities in Alzheimer disease"Journal of Neuroscience. 21. 3017-3023 (2001)
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[Publications] Nunomura A et al.: "Oxidative damageis the earliest event in Alzheimer disease"Journal of Neuropathology and Experimental Neurology. 60. 759-767 (2001)
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[Publications] Zhu X et al.: "Activation of MKK 6, an upstream activator of p38, in Alzheimers's disease"Journal of Neurochemistry. 79. 311-318 (2001)