2001 Fiscal Year Annual Research Report
自家骨髄単核球細胞移植を用いた虚血部血管再生医療 -分子メカニズム解明と虚血心筋ASO下肢への臨床応用-
Project/Area Number |
13470152
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
松原 弘明 関西医科大学, 医学部, 助教授 (10239072)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神畠 宏 関西医科大学, 医学部, 講師 (60233946)
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Keywords | 血管新生 / 骨髄細胞 / 狭心症 / ASO |
Research Abstract |
骨髄細胞には血管内皮細胞、心筋細胞、平滑筋細胞などの心血管系構成細胞の幹細胞が含まれる。さらに、骨髄細胞自身が強力な血管新生因子であるVEGFやbFGFを分泌する。骨髄細胞から幹細胞を含む単核球分画を単離し、虚血組織(虚血下肢・心筋)に移植すると毛細血管が増生し血行再建・機能改善が見られた。新生血管には移植骨髄細胞が取り込まれ、骨軟骨への分化は観察されなかった。動物実験での基礎データをもとに倫理委員会での承認を受け、ヒト虚血肢(ASO・バージャー病)に対して自己骨髄単核球細胞を利用した血管新生療法(Trial for Therapeutic Angiogenesis Using Cell Trasplanatation)(TACT)を久留米大学と共同で開始した。2000年6月より、2002年2月1日までに外科的・内科的治療によっても血行再建の認めない患者45人の虚血下肢(Fontame3-4度)に対して自己骨髄細胞移植を実施した。対照には生理食塩水と末梢血単核球を用いた。全身麻酔下で自家骨髄液約500CCを採取したのち骨髄単核球を分離し、約10億個の細胞を虚血肢の筋肉内40箇所に分割注入した。45人中31人で下肢の血圧が1月後には10mmHg以上上昇し、トレッドミル歩行距離は約2.9倍以上増加し、下肢の落痛は45人中39人で消失した。虚血部潰瘍の治癒は18人中11人でみられた。腓腹筋注射部位の炎症・浮腫は認めず、血中のVEGF・FGF濃度、単核球細胞数は変化しなかった。 骨髄単核球細胞には骨髄間葉系・造血系幹細胞から分化する心筋幹細胞も含まれる。家畜ブタを用いて慢性虚血心筋を作製し、NOGA3次元解析により冬眠虚血部位を同定しカテーテルを用いて細胞移植をおこなった。骨髄単核球移植群全例(n=7)で心機能改善・虚血域の縮小がみられた。昨年12月19日に実施された難治性狭心症患者(これまでCABG2回、PTCA5回、CCS class3)へのMIDCABでの左室側壁hibernation部位への骨髄単核球移植(10^8個)では6週間後には狭心痛の著明改善(CCS class3から1、ニトログリセリン1日10錠から0錠)、心筋虚血部の壁運動改善(NOGA electromec hanical mappingでのhibernationから正常壁運動への改善、心筋シンチでのストレス負荷時の虚血改善、心機能改善(EF42%から53%)が見られた。毎週施行したHolter ECGでは心室性不整脈の出現、CPK-MB, Troponinの異常高値(1週間以内に正常化)など見られず、7週間後退院した。このように、骨髄単核球移植は虚血心筋に対しても良好な成績が得られているが、長期観察が必要である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kamihata H, Matsubara H他7人: "Implantation of autologous bone marrow cells into ischemic myocardium enhances collateral perfusion and regional function"Circulation. 104・3. 1046-1052 (2001)
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[Publications] Shigasaki Y, Matsubara H: "Angiotensin type2 receptor inhibits EGF receptor transactivation by increasing association of SHP-1 tyrosine phasphatare"Hypertension. 38・3. 367-372 (2001)
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[Publications] Fujiyama S, Matsubara H: "Angiotensin AT1 and AT2 receptors differentially regulate angiopoietin 2 expression and VEGF expression"Circ Res. 88:2. 22-29 (2001)