2001 Fiscal Year Annual Research Report
難治性小児白血病におけるアポトーシス耐性機序の解明とその克服
Project/Area Number |
13470161
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Research Institution | 山梨医科大学 |
Principal Investigator |
中澤 眞平 山梨医科大学, 医学部, 教授 (90090034)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
合井 久美子 山梨医科大学, 医学部, 助手 (70324192)
犬飼 岳史 山梨医科大学, 医学部, 助手 (30293450)
杉田 完爾 山梨医科大学, 医学部, 講師 (60138055)
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Keywords | 白血病 / アポトーシス / 移植片対白血病(GVL)効果 / philadelphia染色体陽性白血病 / 11q23転座型急性リンパ性白血病 |
Research Abstract |
同種造血幹細胞移植における移植片対白血病(GVL)効果には、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)やNK細胞が介在し、これらの細胞上の細胞傷害因子(膜結合型ligand)が、白血病細胞上に発現されている受容体を介してアポトーシスを誘導することで中心的な役割を担っていると考えられる。今回は、正常細胞への影響は比較的弱いが、様々な固形癌細胞にアポトーシスを誘導するTRAIL(TNF-related apotosis inducing ligand)に注目し、化学療法では難治であるものの同種骨髄移植が有効であり免疫学的機序による排除が示唆されるPhiladelphia染色体(Ph1)陽性白血病を対象に検討した。TRAIL受容体にはアポトーシスを誘導するR1とR2の他に、細胞内のシグナル伝達ドメインを欠くR3と、アポトーシス抑制シグナル伝達ドメインのみを有するR4があり、R3/4はアポトーシスに抑制的に働く。in vitroで活性型の三量体を形成する遺伝子組み換え型TRAIL添加によるアポトーシス誘導を検討するとともに、各受容体に固有のモノクロナール抗体を用いて白血病細胞での発現を検討した。その結果、12種類のPh1陽性白血病細胞株のうち、5株で強力な、3株で中等度の細胞死誘導が観察され、4株が耐性であった。このTRAIL感受性はR2受容体の発現と強く相関し、耐性株はR2受容体をほとんど発現していなかった。一方、R1およびR3/4受容体は検出されなかった。以上の結果は、TRAILがin vivoでのPh1陽性白血病の排除に関与している可能性と、TRAILの治療への有用性を強く示唆しており、研究を継続している。一方、11q23転座型急性リンパ性白血病は乳児に多く、化学療法のみならず同種造血幹細胞移植でも難治である。そこで同様に7種類の11q23転座型急性リンパ性白血病細胞株で検討したところ、TRAILに対して耐性であることが明らかになった。現在その機序と、克服の可能性について検討中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Nakamura M, Sugita K, Inukai T, Goi K, Miyamoto N, Kagami K, Okazaki-Koyama T, Mori T, Saito M, Nakazawa S.: "Abnormalities of the p16INK4a gene in childhood B-precursor acute lymphoblastic leukemia without nonrandom translocations : analysis of seven matched pairs of primary leukemia and corresponding cell line"Leukemia. 15. 1136-1139 (2001)
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[Publications] Miyamoto N, Sugita K, Goi K, Inukai T, Iijima K, Tezuka T, Kojika S, Nakamura M, Kagami K, Nakazawa S.: "The JAK2 inhibitor AG490 predominantly abrogates the growth of human B-precursor leukemic cells with 11q23 translocation or Philadelphia chromosome"Leukemia. 15. 1758-1768 (2001)
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[Publications] Yamakawa-Karakida N, Sugita K, Inukai T, Goi K, Nakazawa S et al.: "Ligand Activation of Peroxisome Proliferator-activated Receptor γ Induces Apoptosis of Leukemia Cells by Down-regulating the c-myc Gene Expression via Blockade of the Tcf-4 Activity"Cell Death and Differentiation. (In press). (2002)