2001 Fiscal Year Annual Research Report
アトピー病因遺伝子群の構造生物学的解明と環境中でのオーダーメイド治療予防への応用
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13470163
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
近藤 直実 岐阜大学, 医学部, 教授 (50124714)
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Keywords | アトピー / インターフェロン-γ / インターロイキン12レセプター / IgE / 病因遺伝子 / インターロイキン18レセプター |
Research Abstract |
本研究の目的は、極めてユニークな方法も含めて分子遺伝学的手法及び構造生物学的手法を駆使し、アトピー素因を規定しているアトピーの多遺伝子群を世界に先駆けて系統的・総合的に解明することを目的とする。さらにこの遺伝子の解明により環境との関わりを検索し、現存する予知、早期診断法及び治療法とは質を異にした分子遺伝学的な画期的、抜本的予知法、早期診断法並びに多様な病因病態に対抗してオーダーメイド治療・予防法を確立し、広く社会に貢献することを目的とする。 本年度の研究実績がほぼ予定通りに得られ、世界的な知見も見出された。すなわちIgE産生に関し、Th1細胞からのIFN-γの産生低下、IFN-γ産生を誘導するIL-12、IL-18に着目し、その異常を遺伝子学的に解析したところ、IgE高値の患者ではIFN-γ産生が低下しており、それはmRNAのレベルで起こっており、さらにその上位にあたるIL-12の産生やIL-12への反応低下が明らかになった。この原因として、IL-12レセプターβ2鎖遺伝子の異常を世界に先駆け明らかにした。さらにin vitroでIgE産生系を作成し、検討した。結果IFN-γ低下によりIgE産生の抑制が効かないことが示された。これはアレルギーの病因遺伝子の重要な1つがIgE産生抑制系の遺伝子異常であることを示した初めての成果である。さらに、IFN-γ産生を誘導するIL-18に着目し、まず(1)IL-18を大量に精製し、IL-18の立体構造を明らかにした。次いで(2)抑制系であるIL-18シグナリングにつき検討したところ、IL-18レセプターα鎖遺伝子異常によりIgE産生異常を来すことを世界で初めて明らかにした。さらに(3)このIL-18レセプターα2鎖遺伝子変異は発現段階でalternative splicingにより生じていること及び培養条件(環境)により変化することが明らかになった。加えて、IFN-γレセプターの遺伝子変異も見出されつつある。上記の成果をもとに、アトピーを遺伝子学的に分類し、オーダーメイド治療・予防への応用を進めている。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Kondo, N., Matsui, E., et al.: "Reduced interferon-gamma production and mutations of the interleukin-12 receptor beta(2)chain gene in atopic subjects"Int Arch Allergy Immunol. 124. 117-120 (2001)
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[Publications] Kondo, N., Matsui, E., et al.: "Review : Atopy and mutations of Il-12receptor β2chain gene"Clin Exp Allergy. 31. 1189-1193 (2001)
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[Publications] Kondo, N.: "Clinical and genetic research of food allergy in childhood"Joumal of Asthma Allergy and Clinical Immunology. 21. 1063-1065 (2001)
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[Publications] Terada, T., Kondo, N.et al.: "Analysis of Ig subclass deficiency : First reported case of IgG2,IgG4,and IgA deficiency caused by deletion of Cα1,ψCγ,Cγ2,Cγ4,and C ε in a Mongoloid patient"J Allergy Clin Immunol. 108. 602-606 (2001)
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[Publications] Terada, T., Kondo, N.et al.: "Fate of the mutated IgG2 heavy chain : lack of expression of mutated membrane-bound IgG2 on the B cell surface in selective IgG2 deficiency"Int Immunol. 13. 249-256 (2001)
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[Publications] Inoue, R., Kondo, N.et al.: "Identification of beta-lactoglobulin-derived peptides and class II HLA molecules recognized by T cells from patients with milk allergy"Clin Exp Allergy. 31. 1126-1134 (2001)
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[Publications] 近藤直実: "IgEクラススイッチ"メディカルレビュー社. 271 (2001)