2001 Fiscal Year Annual Research Report
小児期のリポ蛋白異常と将来の動脈硬化性心疾患発症に関する研究
Project/Area Number |
13470166
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
太田 孝男 琉球大学, 医学部, 教授 (70185271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朔 啓二郎 福岡大学, 医学部, 教授 (40183371)
岡田 知雄 日本大学, 医学部, 講師 (50177052)
遠藤 文夫 熊本大学, 医学部, 教授 (00176801)
田村 俊也 琉球大学, 医学部・附属病院, 助手 (70315480)
松浦 稔展 琉球大学, 医学部, 助教授 (00315467)
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Keywords | 生活習慣病 / 動脈硬化性心疾患 / リポ蛋白 / CETP / ACAT / 肥満 / β-3アドレナリン受容体 |
Research Abstract |
リポ蛋白異常が動脈硬化性心疾患(ACAD)の大きな危険因子であることは多くの疫学及び基礎研究から明らかである。我が国においても、欧米と同様に多くの小児に成人と同じリポ蛋白異常症が存在しており、将来のACADの発症の増加が危倶されている。本年度の研究で私達は(1)肥満児に於けるβ-3アドレナリン受容体(β-3AR)遺伝子変異の影響、(2)リポ蛋白異常症であるコレステロール転送蛋白(CETP)遺伝子異常の小児に対する影響、更に(3)Acyl-CoA : cholesterol Acyltrantsferase(ACAT)遺伝子の構造解析並びに高脂血症患者でのACAT遺伝子異常の解析を行った。(1)、(2)については以下の結果をまとめ、論文として発表或いは投稿中である。以下にその結果を要約する。肥満児では男女ともにβ-3AR変異(Trp64Arg)を持つ者は持たない児に比べ肥満度は高度であり、HDL-C及びapoA-Iが低い傾向にあったが、統計学的な有意差は男児にのみ認められた。この結果は変異を持っ児が肥満になった場合、よりACADに対してリスクが高くなる事を意味している。CETP欠損症患児では成人と異なり高HDL血症は示さず、HDLレベルは正常児と同レベルであった。また若年成人においても同様の結果が得られており、中高年のCETP欠損症患者に認められる高HDL血症はCETP単独の関与ではなく、何らかの環境要因が加わる事により発症すると考えられた。ACATに関しては、最近の私達の研究で小児における存在が明らかになった家族性複合型高脂血症(FCHL)の原因遺伝子と考え世界に先駆け解析を行っている。ACATにはACAT-1、ACAT-2と二つのアイソフォームが存在しているが、ヒトにおける生理的意義は未だに不明である。進行中の解析データからはヒトの脂質代謝に関与するのは主としてACAT-1の様であり、今後遺伝子解析をリポ蛋白異常児・者について進めていく予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Katsuren K.: "Structure of the human acyl-CoA : cholesterol acyltransferase-2 (ACAT-2) gene and its relation to dyslipidemia"Biochimica et Biophysica Acta. 66. 230-240 (2001)
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[Publications] Arashiro R.: "Effect of a common mutation (D442G) of the cholesterol ester transfer protein gene on lipid and lipoproteins in children"Pediatric Research. 50. 455-459 (2001)
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[Publications] 太田孝男: "小児の高脂血症"臨床と研究. 78. 83-86 (2001)
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[Publications] 太田孝男: "HDL機能指標としてのFERHDL"循環器科. 50. 412-416 (2001)