2002 Fiscal Year Annual Research Report
尿濃縮機構の成熟過程における質的転換因子の個体および系統発生学的解析
Project/Area Number |
13470208
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
根東 義明 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00221250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 信一 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (50262184)
今井 正 自治医科大学, 薬理学, 教授 (40049010)
飯沼 一宇 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80004927)
藤原 幾磨 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (10271909)
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Keywords | 腎機能 / 成熟過程 / 新生児 / 尿濃縮機構 / 腎髄質部 / 尿素 / 在胎日数 |
Research Abstract |
この間の本研究の成果として、新生児期の腎髄質内層尿細管機能の形質転換の詳細を検討した結果、新生児に於ける尿濃縮機構の発達過程は、鳥類類似の尿濃縮機構から哺乳類型への転換過程であり、2段階の尿濃縮機構の発達過程であることが明らかとなってきた。また、その機能的特徴は、NaCl単独蓄積型から尿素依存型への転換過程と考えられた。 これらの成果に基づき、ヘンレの上行脚の形質転換(Clの能動輸送から受動輸送への転換過程)が、どのような因子により促進されるのか。また、それは出生に関連した因子なのかどうかを検討するため、出生時期を人工的に変えた場合の胎児腎ヘンレの細い上行脚の機能を検討した。 Vaginal ligation法またはプロゲステロン法により、妊娠期間を3日間延長し、それによるヘンレの上行脚の形質転換への影響を、尿細管の各種機能の検討により明らかにした。 具体的には、1)NKCC2のmRNA発現量の変化を部位別に棟討する、2)NKCC2の蛋白発現の変化を、蛍光抗体法により検討する、3)ヘンレの細い上行脚における能動的Cl輸送機構の変化を、経上皮電位の観察により検討する、などのプロトコールにより検討を進めた。 その結果、ヘンレの細い上行脚で観察される形態変化と、それに伴うNKCC2依存性能動的NaCl再吸収機構の消失過程は、出生自体を活性化因子とするものではないことが強く示唆された。 今後、1)同様に起こるIMCDの形質転換過程(NaCl輸送および水・尿素輸送)が、出生自体を活性化因子とするか、2)tALにおけるCLC-K1依存性受動的Cl輸送機序の発現過程は、出生自体を活性化因子とするか、3)これらの形質転換過程を直接活性化する因子は何か、などについてさらに研究を進めることが重要と考えられた。
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