2004 Fiscal Year Annual Research Report
免疫寛客性誘導を前提とした異時性肝小腸移植の有用性に関する実験的研究
Project/Area Number |
13470238
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
田口 智章 九州大学, 大学病院, 助教授 (20197247)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水田 祥代 九州大学, 大学病院, 教授 (30038856)
荻田 桂子 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (40346771)
田尻 達郎 九州大学, 大学病院, 講師 (80304806)
増本 幸二 九州大学, 大学病院, 講師 (20343329)
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Keywords | 生体小腸移植 / 肝小腸移植 / 異時性移植 / 腸管運動 / 運動のモニター / 拒絶反応 / MMC / 免疫寛容 |
Research Abstract |
肝臓移植を行うと時間の経過とともに、免疫寛容状態が誘導され、徐々に免疫抑制剤の量を減じ得ることが知られており、症例によっては免疫抑制剤を切ることも可能である。小腸移植はその免疫原性の強さのため拒絶反応が起こりやすく、3年生着率は約40%と低いのが現状である。小腸不全の症例では肝障害を伴うことが多いため、肝+小腸移植の適応となる症例も多く、小腸移植の全症例の55%を占めている。現在これらの肝+小腸移植はすべて脳死からの同時性に移植が行われているが、肝臓には小腸をprotectする効果が期待されているものの実際の臨床での肝+小腸移植の生着率と小腸単独移植の生着率はいずれも3年で40%前後で差がみられないのが現状である。そこでまず肝臓のみ移植し、肝臓が生着し免疫抑制剤が切れる状態になってから同じドナーの小腸を移植するという方法をとれば、ドナー特異的な免疫寛容状態になっているため小腸は生着するはずである。ただしこの術式は脳死からの肝+小腸同時移植ではできないので、生体からの移植が前提となる。 初年度はブタを用いた生体小腸移植のモデルを確立し、長期生存が得られるようになった。2年次は白ブタ同士の交換移植、3年次は白ブタと黒ブタでの交換移植を用いた生体小腸移植モデルで、その生着および拒絶反応をリアルタイムに判定する方法としてストレインゲージトランスデューサーを移植小腸の漿膜面に逢着して、移植腸管の運動をモニターした。運動のモニターの波が出ない場合は早期の血管合併症などによるグラフト不全であること。一旦伝播するMMCが出現してそのamplitudeやdurationが減弱する場合は拒絶反応の診断がリアルタイムに予測できることが判明した。特に拒絶反応で死亡する10日前くらいに運動能の低下が起こっていた。ただし断線や感染などが多いため、器具の改良や管理法の改良も必要である。4年次はグラフトの一部をストーマ付きのisolated loopとし、生検を行うことにより、病理組織所見と運動の関係をしらべたところ、moderate以上のrejectionでは明らかに運動パラメーターの異常がみられたが、mild rejectionでもMMCの伝播率が低下することにより早期診断が可能であることが判明された。異時性肝+小腸移植のブタモデルは短期生存例のみで長期生存例はまだ得られていない。
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Research Products
(6 results)