2002 Fiscal Year Annual Research Report
再生組織(結合織・癌組織・リンパ節・血管)統合による高次免疫システム構築
Project/Area Number |
13470240
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
片野 光男 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (10145203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内山 明彦 九州大学, 医学部附属病院, 助手 (20294936)
森崎 隆 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (90291517)
居石 克夫 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (70108710)
松田 武久 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (60142189)
田中 雅夫 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (30163570)
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Keywords | 人工結合組織 / 人工癌組織 / 人工リンパ組織 / 高次免疫システム / 免疫療法 / 腫瘍免疫 |
Research Abstract |
本研究は、平成13年度および14年度の二年間において、医用工学と共同で創設した「腫瘍工学」領域において両分野の知識を統合して高次の免疫組織を構築することを目標とする。本年度(平成14年度)の計画案に沿って研究結果を概説する。 (1)高次免疫系システムの作成:タイプIコラーゲンゲル内にGM-CSF/IL-4で誘導した末梢単球由来の樹状細胞を存在させ(樹状細胞層)、この上に、Transforming growth factor beta-1(TGF-b1)を含むタイプIコラーゲン内で線維芽細胞および臍帯静脈由来の血管内皮細胞からなる人工結合組織内に各種癌細胞(胃癌細胞および膵癌細胞)を共存させた癌組織類似の浸潤能の高い人工癌組織層(癌組織層)を乗せ、さらにこの上にIL-2を含むコラーゲンゲル内に末梢血単核球を高密度に含む層(リンパ球層)を乗せた、樹状細胞層、癌組織層、リンパ球層からなる第一世代の免疫系システムを作成した。このシステムにおいては、各種細胞を異なる蛍光色素で標識することにより、位相差顕微鏡あるいは蛍光顕微鏡下に個々の細胞の移動や複雑なサイトカインの産生をリアルタイムで観察しうる可能性が示された。しかし、前年度も問題として残った、癌組織層からの他の層への血管網の進展が不十分であり、この問題を乗り越えるために、VEGFなどの血管新生因子の導入などを検討している。 (2)高次免疫系システムの応用:上記のシステムにより、最下層の樹状細胞が癌組織内へ侵入し、壊死あるいはアポトーシスに陥った癌細胞を貧食し、IL-12およびIFN-9を産生する過程、さらには、一部の樹状細胞が最上層のリンパ球層へ移動し、リンパ球のIFN-g産生を誘導することがリアルタイムで観察され、本システムのさらなる改良により、癌に対する複雑な生体免疫反応の解析が可能となる事が示唆された。現在、このシステムを応用して、癌組織層にOK-432やPSKといったBRMを投与した場合の樹状細胞やリンパ球の動き、あるいは、培養液中に抗癌剤を添加した場合の免疫細胞や癌細胞の変化を観察中である。ただし、上述したように当初計画していたこれら三つの人工組織を血管網で連結する方法は研究期間中に遂行できなかった。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] Zhang H: "PSK-mediated NF-kB inhibition augments docetaxel-induced apoptosis in human pancreatic cancer cells NOR-P1"Oncogene. (in press).
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[Publications] Onishi H: "A large quantity of CD3-/CD19-/CD16-lymphocytes in malignant pleural effusion from a patient with recurrent cholangio cell carcinoma"Immunological Inveastigations. 31(2). 121-135 (2002)
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[Publications] Nakamura K: "Simulated microgravity culture system for a 3-D carcinoma tissue model"Bio Techniques. 33. 1068-1076 (2002)
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[Publications] Hashizume K: "Candidate host marker for peritoneal dissemination"Anticancer Research. 22. 1781-1786 (2002)
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[Publications] Saimura M: "Tumor suppression through angiogenesis inhibition by SUIT-2 pancreatic cancer cells genetically engineered to secrete NK4"Clinical Cancer Research. 8. 3243-3249 (2002)
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[Publications] Saimura M: "Intraperitoneal injection of adenovirus-mediated NK4 gene suppresses peritoneal dissemination of pancreatic cancer cell line AsPC-1 in nude mice"Cancer Gene Therapy. 9. 799-806 (2002)
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[Publications] Sasazuki T: "Identification of a novel transcriptional activator, BSAC, by a functional cloning to inhibit tumor necrosis factor-induced cell death"The Journal of Biological Chemistry. 32. 28853-28860 (2002)
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[Publications] Onishi H: "Dysfunctional and short-lived subsets in monocyte-derived dendritic cells from patients with advanced cancer"Clinical Immunology. 105. 286-295 (2002)
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[Publications] 片野光男: "免疫学を基盤とした重症感染症制御"日本臨床麻酔学会雑誌. 22. 115-123 (2002)
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[Publications] 森崎 隆: "癌におけるNF-kB活性化の臨床的意義;炎症における発癌と癌悪性化への関与"放射線生物研究. 37. 453-464 (2002)