2004 Fiscal Year Annual Research Report
高精度な癌細胞定量システムによる癌患者諸組織中の微量癌細胞数定量と臨床応用
Project/Area Number |
13470241
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
前原 喜彦 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (80165662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 秀夫 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (20240905)
掛地 吉弘 九州大学, 大学病院, 助教授 (80284488)
沖 英次 九州大学, 大学病院, 助手 (70380392)
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Keywords | リアルタイムPCR / サイトケラチン / CEA / 骨髄 / 末梢血 |
Research Abstract |
【研究目的】本研究では、種々の組織内(特に末梢血・骨髄およびリンパ節)において腫瘍細胞数を定量的に測定することの可能なシステムを構築し、実際の様々な病態にある腫瘍患者由来の組織中に存在する腫瘍細胞数を定量、患者個体内における腫瘍細胞の病態依存的な動態の詳細を明らかにすることを目的とした。 【研究方法】P-E Biosystem社Sequence Detector 7700を用いてCytokeratin18(以下CK18),CK19,CK20,CEAmRNA発現量を、まず21種の細胞株で定量的に比較した。267人の胃癌患者から得られた骨髄液から、癌細胞を免疫染色にて検出後、またmRNAの発現量を定量的に解析検討した。健常者(14症例)と非切除胃癌症例(19症例)における末梢血中のmRNA発現量も同様に比較検討した。 【研究成果】(結果)細胞株における検討ではCEAの癌特異性は高いが、癌細胞間で発現の差が大きく、検出感受性に問題があった。臨床検体の骨髄では、全267例中30例(11.2%)に手術時骨髄穿刺の免疫染色で、サイトケラチン陽性細胞を認めた。サイトケラチン陽性例は腹膜播種、肝転移、深達度などと有意な関係を認め、また手術時に肝転移を認めていた3症例はすべてサイトケラチン陽性であった。定量的RT-PCRによる検討では、すべてのマーカーで少量の発現が認められたが、CK20で個人間の発現の差が認められ、検出群と未検出群の分類が可能であった。末梢血の検討ではmRNA発現量は健常者に対し非切除胃癌症例で有意に発現量が高く、特にCK19では健常者と非切除胃癌症例で有意に(p=0.0046)発現量の差が認められ、化学療法後の変化も観察可能であった。(考察)骨髄における検討では、CK20が有望なマーカーであると考えられた。末梢血の検討では、CK18,CK19,CK20mRNA発現量は健常者と比較し非切除胃癌症例で高発現する症例が存在し、これらのマーカー特にCK19は有用であると考えられた。また末梢血では、化学療法後にmRNAの定量値が明らかに減少しているものがあり、化学療法の効果モニターとしての可能性が示唆された。
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Research Products
(7 results)