2001 Fiscal Year Annual Research Report
映像化を指向した腹部・骨盤臓器の機能温存癌手術のためのリンパ系の応用解剖学的研究
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13470251
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
佐藤 達夫 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10004657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下川 隆 金沢大学, 大学院・医学研究科, 助手 (70302841)
坂本 裕和 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (40225818)
秋田 恵一 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (80231819)
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Keywords | 左腎静脈 / 大動脈周囲リンパ節 / 奇静脈周囲リンパ節 / 胸管 / 中副腎動脈 / 臨床解剖学 |
Research Abstract |
腹部および骨盤内臓の悪性腫瘍の手術において、根治性と機能温存という相反する要請を満足させる合理的な機能温存手術術式を開発するためには、リンパ節群とそれら相互のネットワークおよび血管・自律神経・筋膜との位置関係に対する十分な理解が必要である。 平成13年度は、実習解剖体を用いて腹部臓器からのリンパ経路を明かにした。胃小弯から噴門後面にかけてのリンパ管、脾動静脈に沿ったりンパ管および腸リンパ本幹の発達が良好で、それぞれ独立したリンパ管として形成されていた。これらのリンパ管は左腎静脈と左副腎静脈の合流部に位置するリンパ節に集り、中継リンパ節を介して大動脈周囲リンパ節に達していた。肝、胆、膵からのリンパの基本的な経路は総肝動脈の起始部にある大型のリンパ節に達し、腹腔動脈周囲リンパ節に至る。また、門脈および総胆管に沿ったりンパ管は膵頭後面の上縁にあるリンパ節に入る。このリンパ節からの輸出リンパ管は、膵頭後面のリンパ管とともに左腎静脈直下の大動静脈間リンパ節に注ぎ込む。腎実質あるいは腎被膜からのリンパは腎動静脈に沿って、大動脈周囲リンパ節に集合する。その一部は上方に向かい横隔膜脚を貫いて奇静脈あるいは半奇静脈周囲リンパ節に至り、胸管に達する短絡路を形成している。副腎のリンパは、副腎と腎の間隙の深層を走る中副腎動脈に沿って腹腔動脈周囲のリンパ節あるいは腎茎リンパ節に達したのち大動脈周囲リンパ節に至る。このように、腹部臓器からのリンパ管は左腎静脈と腹大動脈の交叉部にある大動脈周囲リンパ節に注ぐことが確認された。 明かにされた成果は、60分(30分2本)のビデオにまとめて、臨床医の参考に提供する。日本語版と英語版とを作り、機能温存手術の基礎的資料として内外の学会で活用できるよう編集中である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 佐藤達夫: "図説・下部尿路の解剖4 会陰の神経と筋"排尿障害プラクティス. 9. 57-65 (2001)
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[Publications] 佐藤達夫: "図説・下部尿路の解剖5 骨盤内の筋膜"排尿障害プラクティス. 9. 135-143 (2001)
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[Publications] 坂本裕和: "図説・上部尿路の解剖1 後腹壁の筋構成と腎への到達路"排尿障害プラクティス. 9. 219-227 (2001)
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[Publications] 坂本裕和: "図説・上部尿路の解剖2 腎・副腎の血管"排尿障害プラクティス. 9. 313-321 (2001)
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[Publications] 坂本裕和: "図説・上部尿路の解剖3 腎・副腎の神経とリンパ"排尿障害プラクティス. 10(印刷中). (2002)