2001 Fiscal Year Annual Research Report
乏突起神経膠腫における化学療法感受性の分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
13470284
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
植木 敬介 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (20302705)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 実 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (50332581)
浅井 昭雄 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (50231858)
油谷 浩幸 東京大学, 先端科学技術研究センター・ゲノムサイエンス部門, 教授 (10202657)
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Keywords | 乏突起神経膠腫 / 遺伝子診断 / 化学療法 / 遺伝子発現解析 |
Research Abstract |
乏突起神経膠腫は化学療法感受性の高い神経膠腫であることが知られるようになり、その適切な診断と治療は、臨床上極めて重要な課題となっている。また、その特異ともいえる化学療法感受性のメカニズムの解明はその他の神経膠腫における治療成績の改善にも結びつく可能性がある。我々は、これまでに約200例の神経膠腫をインフォームドコンセントをいただいた上で採取し、その病理診断を確定し、さらに遺伝子解析を行なって、乏突起神経膠腫の診断における遺伝子解析の役割を検討するとともに、乏突起神経膠腫において化学療法感受性の遺伝子マーカーである染色体1番短腕(1p)の欠失の有無によって遺伝子発現に差があるのかどうか、あるとすればどのような遺伝子群が異なっているのか、化学療法感受性に関連する可能性のある遺伝子が推定できるかということを目標に研究を進めている。これまでの検討で以下のことが結果として得られている。 1)神経膠腫において、1pLOH, 19qLOHを有しかつ10qLOHの見られないものは、組織学的にはほぼ確実に乏突起神経膠腫と診断される。この組織診断は高度な経験を有しない病理医においてはなかなか一定せず、遺伝子解析による診断は有用である。 2)組織学的には乏突起神経膠腫と診断される腫瘍の中でも、1pLOHを有するものとTP53の変異を有するものとは重なりがなく、遺伝子異常の点からは異なるサブタイプに属する。組織学的にもわずかながらその特徴に違いが見られる。 3)GeneChipを用いた遺伝子発現解析では、乏突起神経膠腫の遺伝子発現は1pLOHの有無によって、有意に異なり、発現のさが見られる遺伝子の中には興味深い遺伝子が多数存在する。 今後は、化学療法感受性に関すると考えられる遺伝子を予想し、特定していく作業を進めていく予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Ueki K, Nishikawa R, Nakazato Y, Hirose T, Hirato J, Funada N, Fujimaki T, Hojo S, Kubo O, Ide T, Usui M, Ochiai C, Ito S, Takahashi H, Mukasa A, Asai A, Kirino T: "Correlation of histology and molecular genetic analysis of 1p, 19q, 10q, TP53, EGFR, CDK4 and CDKN2A in 91 astrocytic and oligodendroglial tumors"Clin Cancer Res. 8. 196-201 (2002)
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[Publications] Mukasa A, Ueki K, Matsumoto S, Tsutsumi S, Nishikawa R, Fujimaki T, Asai A, Kirino T, Aburatani H: "Distinction in gene expression profiles of oligodendrogliomas with and without allelic loss of 1p"Oncogene. (in press).