2001 Fiscal Year Annual Research Report
パーキンソン病に対する神経伝達物質及び神経栄養因子の遺伝子導入に関する研究
Project/Area Number |
13470294
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大本 堯史 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (60032900)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西尾 晋作 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (80325109)
富田 享 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (90237115)
伊逹 勲 岡山大学, 医学部・附属病院, 講師 (70236785)
小野 成紀 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (40335625)
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Keywords | パーキンソン病 / 遺伝子治療 / 神経栄養因子 / ドパミン |
Research Abstract |
パーキンソン病に対する再生療法の一つとして、線条体への神経伝達物質及び神経栄養因子の遺伝子導入療法が注目されている。ドパミン系神経細胞に対する神経栄養因子であるglial cell line-derived neurotrophic factor(GDNF)と、ドパミン合成酵素であるtyrosine hydroxylase(TH)の遺伝子を組み込んだプラスミドベクターを作製した。パーキンソン病モデルラットは、右側線条体内に6-hydroxydopamine(6-OHDA)を注入することによって作成した。その1週間後、GDNF及びTH遺伝子をくみこんだプラスミドベクターと陽性荷電リポソームを混合して複合体を形成させ、体内埋め込み型浸透圧ポンプを用いてパーキンソン病モデルラットの右線条体に1週間の持続注入を行った。 組織学的には、線条体のグリアに、GDNFとTHの遺伝子の導入が確認された。黒質のドパミン細胞数と線条体のドパミン線維の密度が、遺伝子導入群で有意に増加していた。高速液体クロマトグラフィーの測定では、コントロール群に比べて、遺伝子導入群で有意に線条体のドパミン濃度の上昇がみられた。アポモルフィン誘発の回転運動についても、遺伝子導入群で有意な回転運動の減少効果が確認された。今回は、6-OHDA投与1週間後に遺伝子導入を行っているが、今後、2週間、4週間後に遺伝子導入を行い、これらの時期にも遺伝子導入効果がみられるかどうかを観察する必要がある。 これまで、パーキンソン病に対する遺伝子導入では、神経伝達物質あるいは神経栄養因子の導入が単独で行われてきた。今回の研究では、これらを同時に導入することが可能であること、しかも、組織学的、生化学的、行動学的に有効であることが示された点が有意義である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 大本堯史: "Parkinson病の治療:細胞移植術の現状と展望"Clinical Nearoscience. 19(5). 704-705 (2001)
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[Publications] Date, I.: "Grafting of encapsulated genetically modified cells secreting GDNF"Cell Transplantation. 10. 397-401 (2001)
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[Publications] Fujiwara, K.: "Neurotrophic factor-secreting cell grafting for cerebral ischemia"Cell transplantation. 10. 419-422 (2001)