2001 Fiscal Year Annual Research Report
ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体ガンマ(PPAR-γ)の骨粗鬆化への関与―ノックアウトマウスおよびヒトゲノムSNPsの解析―
Project/Area Number |
13470303
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
五嶋 孝博 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (20272544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平岡 久忠 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (10262007)
中村 耕三 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (60126133)
川口 浩 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (40282660)
阿久根 徹 東京大学, 医学部・附属病院, 医員 (60282662)
門脇 孝 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (30185889)
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Keywords | PPAR-γ / 骨粗鬆症 / 骨芽細胞 / 脂肪 / 老化 / 骨髄 / ノックアウトマウス / 破骨細胞 |
Research Abstract |
本年度は、生体内でのPPAR-γの骨代謝調節機構における役割を解明することを目的として、PPAR-γ欠損マウスの骨組織の解析を行った。 PPAR-γホモ欠損マウスは胎生致死であったが、ヘテロ欠損マウス(+/-)は脂肪分化障害を呈しつつ正常に発育した。骨密度測定および3D-CT像において、+/-では+/+に比べて皮質骨・海綿骨とも骨量が有意に増加していた。骨形態計測でも+/-では骨量の増加が認められ(BV/TVが38%増)、特に骨芽細胞の数の指標が大幅に上昇していた(Ob.S/BSが92%,OS/BSが114%,MS/BSが98%増)。しかしながら個々の骨芽細胞の機能の指標であるMAR(12%増)、および骨吸収の指標(N.Oc/B.Pmが12%,ES/BSが7%増)は+/+と有意な差はなかった。+/-由来の骨髄細胞培養系では、+/+と比較して骨芽細胞への分化(CFU-F/ALP^+、Alizarin red・von Kossa染色によるCFU-OB)がすべて促進していた。PPAR-γのリガンドであるTrogletazoneを加えると、脂肪細胞への分化(oil red染色によるCFU-AD)は+/+で著明に促進されたが+/-では軽度であった。その一方で骨芽細胞への分化は+/+では著明に抑制されたが,この抑制効果も軽度であった。この培養系において+/-のPPAR-γ mRNAレベルは+/+と比べて低値であり、逆にCbfa-1レベルは高値を示した。しかしながら、頭蓋骨由来骨芽細胞(POB)培養系における増殖能および基質合成能、M-CSF依存性骨髄マクロファージ(B-MMφ)培養系におけるRANKL存在下での破骨細胞・象牙片上吸収窩形成能、および単離破骨細胞の生存率、のどれもが+/-と+/+の間で差がなかったことより、PPAR-γシグナルは分化した骨芽細胞や破骨細胞系細胞には重要ではないと考えれられた。以上より、PPAR-γの抑制は生体内において骨髄前駆細胞からの骨芽細胞の分化を促進し骨量を増加させることが明らかとなり、PPAR-γシグナルの骨粗鬆化への関与が示された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 川口 浩: "骨粗鬆症と老化"医学のあゆみ. 198. 559-562 (2001)
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[Publications] 阿久根 徹: "骨を構成する細胞群とその起源についての理解の進歩"内分泌・糖尿病科. 13(3). 226-230 (2001)
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[Publications] 川口 浩: "加齢と骨"新臨床医のための分子医学シリーズ:骨軟骨代謝と注目の骨症例. (単行本). 96-104 (2002)