2002 Fiscal Year Annual Research Report
破骨細胞分化・活性化におけるTRAF6の役割に関する研究
Project/Area Number |
13470304
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大西 五三男 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (70311628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 純一郎 東京大学, 医科学研究所, 教授 (70176428)
織田 弘美 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (60101698)
田中 栄 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (50282661)
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Keywords | 破骨細胞 / TRAF6 / RANKL |
Research Abstract |
【背景】近年の研究から破骨細胞の分化においてRANKL (receptor activator of NF-κB ligand)/RANK pathwayが中心的な役割を果たしていることが示された。われわれはこれまでにRANKに結合し、その下流で働くシグナル分子TRAF (tumor necrosis factor receptor-associated factor)6が破骨細胞分化に重要であることを報告した。今回われわれはRANKL刺激によってTRAF6の発現が誘導されること、TRAF6過剰発現のみによって前駆細胞から破骨細胞への分化誘導が可能であることを明らかにした。 【結果および考察】M-CSF存在下で培養した骨髄細胞(M-BMMφ)を可溶型RANKLで刺激すると、速やかにTRAF6の発現上昇が認められた。一方M-BMMφをIL-1で刺激してもTRAF6の発現に変化は見られなかった。破骨細胞分化におけるTRAF6発現上昇の意義を明らかにするために、レトロウイルスベクターを用いてM-BMMφにTRAF6を過剰発現させたところ、RANKL非存在下でも破骨細胞様多核細胞(osteoclast-like cell, OCL)の形成が認められた。一方TRAF2、TRAF5を発現させてもOCLは形成されなかった。OCLの形成はTRAF6の発現量に依存しており、形成された細胞はアクチンリングを形成し、MMP-9、cathepsin K、calcitonin receptor等の破骨細胞特異的な遺伝子を発現し、象牙質切片上での吸収窩形成能を有していた。この時のOCL形成はRANKLの阻害剤であるOPG添加によっても抑制されなかったことから、M-BMMφによるRANKLの産生誘導を介するautocrineなメカニズムではないと考えられた。以上の結果から破骨細胞の分化にはTRAF6の活性化のみならずTRAF6の発現上昇が重要な役割を果たしていることが示唆された。今後TRAF6の発現調節メカニズム、TRAF6の下流で働くシグナルの解明が破骨細胞分化の分子メカニズムを明らかにする上で重要であると考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Nakamura I, Kadono Y, Takayanagi H, Jimi E, Miyazaki T, Oda H, Nakamura K, Tanaka S, Rodan GA, Duong LT: "IL-1 Regulates Cytoskeletal Organization in Osteoclasts Via. TNF Receptor-Associated Factor 6/c-Src Complex"J Immunology. 168. 5103-5109 (2002)
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[Publications] Yamamoto A, Miyazaki T, Kadono Y, Takayanagi H, Miura T, Nishina H, Katada T, Wakabayashi K, Oda H, Nakamura K, Tanaka S: "Possible involvement of IkappaB kinase 2 and MKK7 in osteoclastogenesis induced by receptor activator of nuclear factor kappaB ligand"J Bone Miner Res. 17. 612-621 (2002)
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[Publications] 田中 栄: "骨粗しょう症の新しい治療"最新医学. 57. 1515-1523 (2002)