2002 Fiscal Year Annual Research Report
C線維特異的ナトリウムチャネル欠損マウスを用いた疼痛の分子生物学的研究
Project/Area Number |
13470313
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
藤本 吉範 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (30199377)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
緒方 宣邦 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (80091255)
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Keywords | ナトリウムチャネル / 後根神経節 / テトロドトキシン / チャネルコンダクタンス / 膜電位固定法 / パッチクランプ法 |
Research Abstract |
本研究では、Nav 1.8-null mutant mouse DRG初代培養細胞を用い、新規TTX非感受性VGSCであるNaV 1.9 (NaN)の性質、および生理機能の解明を目的とし、その基本的性質を検討した。 1.whole-cell patch-clamp法によるNaV 1.9の電気生理学的性質の検討。 NaV 1.8-null mutant mouseを用いることにより、NaV 1.9電流を単独で記録することが可能になり、数100msにもおよぶ非常に遅いゲーティングカイネティクスをもつ持続性ナトリウム電流を発生することが明らかになった。さらに、その活性化閾値は約-60mVと他のVGSCと比較して20mV程度過分極側にあり、閾値下で細胞の興奮性を制御していることが示唆された。 2.ナイスタチンperforated法を用いてのNaV 1.9電流量の変化の検討。 conventional法に見られる電流量の変化はperforated法を用いることにより抑制された。両手法の違いから、このNaV1.9電流量の変化はconventional法でのパッチ膜を介した細胞内機能分子のwash outによる細胞内環境の変化により引き起こされていることが考えられた。さらに、電極内にATPを補ってやることにより電流量変化が抑制されたことから、電流量変化には細胞内のエネルギー依存的な反応、あるいはリン酸化につながる細胞内情報伝達系が関与していることが示唆された。 3.single-cell RT-PCR法による単一細胞でのNaV 1.9mRNA発現と電流発生の比較検討。NaV 1.9 mRNAは大型細胞にまで広範囲に発現することが明らかになった。しかし、NaV 1.9 mRNAは大型細胞においても高率に発現するのに対し、NaV 1.9電流は大型の細胞ではほとんど見られないこと、さらに小型細胞でもmRNAが発現しているにも関わらず電流が発生しない細胞が多数存在することから、NaV 1.9ではmRNA発現が必ずしもチャネルとしての機能発現とは一致せず、mRNA転写後、機能発現するまでに何らかの調節機構があることが考えられた。また、NaV 1.8-null mutant mouseではNaV 1.9 mRNA発現、および電流発生がアップレギュレートされており、NaV 1.9がNaV 1.8の機能を代償している可能性が考えられた。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] Maruyama, H: "The role of tetrodotoxin-resistant sodium channels in pain sensation"Pain Res.. 16・2. 51-56 (2001)
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[Publications] 緒方 宣邦: "SNSノックアウトマウスを用いた痛みの研究"日本臨床. 59・9. 1688-1697 (2001)
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[Publications] Ogata, N.: "Molecular diversity of structure and function of the voltage-gated Na^+ channels"Jap. J. Pharmacol.. 88・4. 1-13 (2002)
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[Publications] Ogata, N.: "New perspectives on the structure and function of the sodium channel multigene family"Curr. Med. Chem.. 2・1. 59-81 (2002)
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[Publications] 緒方宣邦: "痛覚伝導における電位依存症ナトリウムチャネルの新しい役割 持続性Na電流の細胞特異的発現とその機能"ペインクリニック. 23・9. 1245-1257 (2002)
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[Publications] 緒方宣邦: "ナトリウムチャネルと痛み -後根神経節における持続型ナトリウムチャネル-"脳21. 6・1. 22-33 (2003)
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[Publications] 緒方宣邦: "テトロドトキシン非感受性ナトリウムチャネルの痛覚制御機構における役割"日本ペインクリニック学会誌. 10・1. 1-2 (2003)
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[Publications] Ohishi, Y.: "Use-dependent unblocking of the transient K+ current by 4-aminopyridine in rat dorsal root ganglia"J. Pharmacol. Sci.. (in press). (2003)
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[Publications] Maruyama, H.: "Characterization of the tetrodotoxin-resistant Na+ channel, NaV1.9, in mouse dorsal root ganglia"J. Physiol.. (in press). (2003)
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[Publications] 赤池紀扶: "脳機能の解明「生命科学の主潮流」"ガイア出版社. 571 (2002)