2001 Fiscal Year Annual Research Report
ステロイド性大腿骨頭壊死症発生予防のための遺伝子解析法の確立
Project/Area Number |
13470314
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
久保 俊一 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (20178031)
|
Keywords | 特発性大腿骨頭壊死症 / ステロイド / チトクロームP450 / 腎移植 / 一塩基変異多型 / DNA Chip |
Research Abstract |
特発性大腿骨頭壊死症(ION)は大腿骨頭の無菌性,阻血性壊死をきたす疾患である。大腿骨頭圧潰が生じると股関節機能が著しく低下し,ADLは障害される。青壮年期に発生頻度が高く,発生機序については完全に解明されていないが、ステロイド投与に関連して発生するステロイド性IONの占める割合が高い。ステロイドが治療に大量に用いられる疾患としては,膠原病,ネフローゼ症候群,臓器移植などがあり,近年これらの疾患に対する治療機会は増していることから,今後もステロイド性IONの発生は増加していくと考えられる。現在までにIONについて,MRIを用いた研究により,以下の事実が明らかになった。つまりIONは,ステロイド投与後,きわめて早期に発生している。また,ステロイドを継続していても,壊死領域が拡大する事はなく、再発もほとんど認められない。以上の事実より,基礎疾患治療開始前よりIONのリスク患者を同定することが,ION発生の予防を考える上で重要である。われわれはステロイド代謝酵素であるチトクロームP450(CYP450)の一塩基変異多型(SNP)が原因でステロイドが体内に蓄積し,その結果合併症としてIONが発生するのではないかと考えた。そこでCYP450のSNPが基礎疾患治療開始前のリスク患者の同定に使用できるかどうかを検討した。SNPを短時間で大量に解析可能な技術として近年DNA Chipが注目されている。今回、当院腎移植後の患者を対象に、Affymetrix社製Gene Chipを用い、CYP450のSNP解析を行った。その結果,症例数は少なく今後の検討が必要であるが,CYP2D6*2ホモ接合体でIONリスクが上昇傾向を示した。CYP2D6の遺伝子型決定により,基礎疾患治療前から,末梢血を少量採取することにより,IONリスク患者の同定ができる可能性がある。
|