2003 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子欠損動物を使用した敗血症ショック時の心筋細胞内情報伝達機構変容機序の解明
Project/Area Number |
13470316
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
丸藤 哲 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30125306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 裕一 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (50156361)
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Keywords | 敗血症 / 心収縮性 / Gsα蛋白 / 遺伝子欠損動物 / Toll-like受容体 / macrophage migration inhibitory factor / nuclear factor κB |
Research Abstract |
敗血症での心筋のアドレナリンβ受容体を介した細胞内情報伝達の変化の中心は、Gsα蛋白の減少である。敗血症モデル(CLPマウス)ではGsα蛋白は約12時間後より減少を認め、約36時間後から死亡時まで約45%に減少した。抗TNF-α抗体、抗IL-1β抗体、抗IL-6抗体、iNos選択的拮抗薬FR260330は、何れも心筋におけるGsα蛋白の減少を改善させなかった。以上より、炎症性サイトカインのノックアウトマウスでも、敗血症におけるGsα蛋白減少の改善が期待できないと評価した。 nuclear factor κB (NF-kB)デコイ核酸でNF-kBを抑制した結果、炎症性サイトカインや炎症物質の産生を心房筋で強く抑制できた。ウサギにlipopolysaccharide (LPS) 100μg/kgを静脈内投与した敗血症モデルでも同様の結果となった。しかし、ウサギ敗血症心房筋で減少していたGsα蛋白は、NF-kB遺伝子治療では十分に改善できなかった。この研究過程で、敗血症心房筋でヒスタミン合成が高まることとヒスタミン受容体が増加することを見出した。敗血症の頻脈はH_2受容体の増加による可能性があるが、Gsα蛋白減少により、そのシグナルは減じられていた。 更には心房筋の炎症が惹起される要因として、LPSの受容体であるToll-like受容体4 (TLR4)が高発現していることを見出し、macrophage migration inhibitory factor (MIF)のノックアウトマウスで心房筋のTLR4発現と炎症が減じ、敗血症によるGsα蛋白の減少が抑制されることを見出した。敗血症でのGsα蛋白の減少はTLR4を介するNF-kB以外の要因、すなわちMAPキナーゼ系の関与が強く示唆される結果となった。
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Research Products
(1 results)