2001 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子欠損動物を用いた微小脳血管の血流維持機構と麻酔薬作用に関する研究
Project/Area Number |
13470327
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
畑埜 義雄 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (70115913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水本 一弘 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (50239258)
小川 幸志 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (30204077)
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Keywords | 脳微小血管 / 高炭酸ガス / ATP感受性カリウムチャネル / グリベンクラミド |
Research Abstract |
平成13年度は、マイクロベッセル観察システムを用いてラット脳新皮質内の微小血管を観察し、高炭酸ガスによる血管弛緩反応のメカニズムを薬理学的に検討した。 1)ハロセン麻酔下にウィスターラットを開胸し、左心室から人工脳脊髄液を潅流させながら右心房を切開脱血し、迅速に脳を摘出した。4℃人工脳脊髄液中でビブラトームを用いて厚さ約150μmの新皮質を含む脳スライス標本を作成した。この標本を酸素93%+炭酸ガス7%で通気した37℃人工脳脊髄液で満たした観察用チャンバーに入れ、倒立顕微鏡にて脳実質内の微小血管を観察した。血管平滑筋が壁在する内径3-10μmの微小血管を観察した。これらの血管はその径から毛細血管直前の抵抗血管であることが推測された。顕微鏡画像はビデオカメラで取り込み、デジタル変換した後コンピュータ画面上で解析ソフトを用いて血管径を計測した。 2)酸素93%+炭酸ガス7%(PCO_2=40mmHg)にて30分間通気した脳スライス標本にプロスタグランディンF_<2α>を加え、標本内動脈を収縮させた。その後酸素90%+炭酸ガス10%(PCO_2=50mmHg)の通気を行い、高炭酸ガスの状態にした。約20分で脳微小動脈は最大限に拡張した。選択的ATP感受性カリウムチャネル拮抗薬であるグリベンクラミドを前処置し、上記と同様の実験を行ったところ、高炭酸ガス下において血管拡張はほぼ完全に抑制されたが、選択的カルシウム依存性カリウムチャネル拮抗薬であるイベリオトキシンは、全く影響しなかった。以上の結果から、炭酸ガスによる脳実質内微小血管の弛緩作用において、ATP感受性カリウムチャネルは重要な役割を果たしていることが明らかになった。 今後は低酸素における脳血管弛緩反応についてイオンチャネルの役割を明らかにし、さらに高炭酸ガスや低酸素時に各種揮発性麻酔薬が及ぼす影響について明らかにする予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Kinoshita H, Ishikawa T, Hatano Y: "Role of K^+ channels in augmented relaxations to sodium nitroprusside induced by mexiletine in rat aortas"Anesthesiology. 92(3). 813-820 (2000)
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[Publications] Ogawa K, Yamada S, Mizumoto K, Iranami H, Hatano Y: "Inhibitory effects of halothane, isoflurane, sevoflurane, and pentobarbital on the constriction induced by hypocapnia and bicarbonate in isolated canine cerebral arteries"Jounal Neurosurg Anesthesiology. 12(2). 99-106 (2000)
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[Publications] Kinoshita H, Iwahashi S, Kakutani K, Mizumoto K, Iranami H, Hatano Y: "The role of endothelium-derived nitric oxide in relaxation to levcromakarim in the rat aorta"Japanese Journal of Pharmacology. 81. 362-366 (1999)
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[Publications] Kinoshita H, Ishikawa T, Hatano Y: "Differential effects of lidocaine and mexiletine on relaxations to ATP-sensitive K^+ channel openers in rat aortas"Anesthesiology. 90(4). 1165-1170 (1999)
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[Publications] Ogawa K.Yamamoto M, Mizumoto K, Hatano Y: "Volatile anesthestics attenuate hypocapnia-induced constriction in isolated dog cerebral arteries"Canadian Jounal of Anesthesia. 44(4). 426-432 (1997)