2001 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄における痛覚伝達の生理学的,薬理学的,生化学的解析
Project/Area Number |
13470328
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
南 敏明 大阪医科大学, 医学部, 助手 (00257841)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 伸治 関西医科大学, 医学部, 助手 (70276393)
酒井 雅人 大阪医科大学, 医学部, 助手 (30319545)
原 直樹 大阪医科大学, 医学部, 助手 (60298768)
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Keywords | アロディニア / カプサイシン / グルタミン酸 / 痛覚過敏反応 / ノックアウトマウス / プロスタグランジン |
Research Abstract |
グルタミン酸がアロディニアの誘発・維持に必須 マウス脊髄腔内投与のPGE_2とPGF_<2α>によるアロディニアの誘発・維持におけるグルタミン酸受容体やグルタミン酸トランスポーターの役割を検討した。1)NMDAとAMPAをマウス脊髄腔内に投与し触覚刺激を加えるとアロディニアが惹起された。2)PGE_2とNMDAによるアロディニアはGluRε1-/-マウスで出現しないが、PGF_<2α>とAMPAによるアロディニアはGluRε4-/-マウスで出現しない。3)PGE_2とNMDAによるアロディニアはGluRε2選択的阻害薬で抑制されたが、PGF_<2α>とAMPAによるアロディニアはGluRε2選択的阻害薬で抑制されない。4)生直後にカプサイシンの全身投与によりC線維を選択的に破壊したマウスでは、PGE_2とNMDAによるアロディニアは出現しなかったが、PGF_<2α>とAMPAによるアロディニアは出現した。5)グルタミン酸トランスポーター阻害薬DL-TBOAは、どのアロディニアの誘発も抑制した。以上より、グルタミン酸がアロディニアの誘発・維持に必須であり、PGE_2とNMDAのアロディニアはPGF_<2α>とAMPAのアロディニアと異なる伝達経路で誘発されることが示唆された。 PGE_2受容体欠損マウスを用いた痛みの伝達機構の解明 PGE受容体にはサブタイプEP_1〜EP_4が存在し、PGE_2による痛覚反応がどのEPサブタイプを介しているかEP受容体ノックアウトマウスを用いて検討した。1)PGE_2の脊髄腔内投与後、ホットプレート試験を行うと1pgから10ngの広い用量応答曲線で熱刺激に対して2相性の痛覚過敏反応が起こった。EP_3-/-マウスではPGE_2による痛覚過敏反応は、低用量で見られなくなったが、高用量では野生型と同様観察された。2)ホルマリンテストによるマウスの痛みの反応は2相性をすが、EP_1-/-,EP_3-/-マウスでは野生型マウスに比べて第2相が減弱傾向を示した。3)PGE_2によるアロディニアは、EP_3-/-マウスでは観察されたが、EP_1-/-マウスでは誘発されなかった。以上より、PGE_2のアロディニアがEP_1受容体を介し、痛覚過敏反応は低用量でEP_3を介しているというEP受容体作動薬と拮抗薬から得られた薬理学的実験結果がEP受容体サブタイプのノックアウトマウスで確認された。
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Research Products
(11 results)
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[Publications] Minami, T. et al.: "Characterization of the glutamatergic system for induction and maintenance of allodynia"Brain Res. 895. 178-185 (2001)
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[Publications] Minami, T. et al.: "Characterization of EP receptor subtypes responsible for prostaglandin E_2-induced pain responses by use of EP_1 and EP_3 receptor knockout mice"Br. J. Pharmacol. 133. 438-444 (2001)
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[Publications] Minami, T. et al.: "The effects of capsaicin cream on prostaglandin-induced allodynia"Anesth & Analg. 93. 419-423 (2001)
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[Publications] Doi, Y.et al.: "Central nociceptive role of prostanoid IP receptor induced by peripheral inflammation"Neuroreport. 13. 93-96 (2002)
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[Publications] Ito, S.et al.: "Peripheral and central roles of prostaglandins in pain : allodynia as a model of neuronal plasticity"Neurosci. Res.. 41. 299-332 (2002)
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[Publications] 南 敏明, 他: "痛みの可塑性"生物物理. 41. 15-19 (2001)
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[Publications] 南 敏明, 他: "脊髄における痛みの伝達機構"臨床麻酔. 25. 299-310 (2001)
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[Publications] 南 敏明, 他: "慢性疼痛のメカニズム"日本臨牀. 59. 1646-1648 (2001)
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[Publications] 伊藤誠二, 他: "生化学の立場からみた痛みの分子機構と治療"ペインクリニック. (印刷中). (2002)
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[Publications] 伊藤誠二, 他: "痛みとPGE_2 プロスタグランジン研究の新展開"編:室田誠逸、山本尚三、東京化学同人. 49-52 (2001)
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[Publications] 伊藤誠二, 他: "ノシスタチンの鎮痛作用 オピオイド治療 課題と新潮流"編:鎮痛薬・オピオイドペプチド研究会、ミクス. 260-267/309 (2001)