2002 Fiscal Year Annual Research Report
性ステロイド、特にアンドロゲンの中枢神経機能の性差形成における役割-グリア細胞機能調節因子としてのアンドロゲンに力点を置いた解析-
Project/Area Number |
13470335
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
田中 潤也 愛媛大学, 医学部, 教授 (70217040)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秦 龍二 愛媛大学, 医学部, 助教授 (90258153)
阪中 雅広 愛媛大学, 医学部, 教授 (60170601)
横山 雅好 愛媛大学, 医学部, 教授 (50116993)
楊 麗華 愛媛大学, 医学部, 助手 (50346673)
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Keywords | アストロサイト / マイクログリア / テストステロン / 性ホルモン受容体 / プロゲステロン / RT-PCR / 脳の性差形成 / アクアポーリン |
Research Abstract |
脳内の全細胞数の40%を占めるアストロサイトに対する、アンドロゲンを中心とした性ステロイドホルモンの影響を細胞生物学的に解析を続けている。最近我々は造血幹細胞に由来するとされてきたマイクログリアが、神経細胞に分化しうるなど分化多能性を有することを見いだした。マイクログリアの機能的分化や増殖にアストロサイトが深く関与しているが、マイクログリアからの神経細胞の発生に対する、性ホルモンの影響の解析を開始した。 本年度は下記のような実験的所見を得た。 1.培養ラットアストロサイトにおける性ステロイドホルモン受容体発現の確認 培養ラットアストロサイトにおいて、アンドロゲン、プロゲステロン、エストロゲンの各受容体の発現を、RT-PCRとイムノブロットにより確認したが、一方、マイクログリアにはこれらの性ホルモン受容体が殆ど発現していないことを見いだした。 2.水チャネル蛋白質、アクアポーリン4(AQP4)の培養ラットアストロサイトにおける発現に対する性ステロイドホルモンの影響 テストステロンとプロゲステロン、デヒドロテストステロンは、AQP4の発現を、mRNAレベルとタンパク質レベルの両レベルで上昇させた。この効果はホルモン濃度に依存性であった。このAQP4の発現上昇は、タンパク質キナーゼC(PKC)の活性化剤であるフォルボールエステルで処理することにより消失した。このことから、アンドロゲン、プロゲステロンの作用が、PKCを介する情報伝達系に依存して発現していることを示した。アンドロゲン処理によりAQP4の発現が上昇したアストロサイトに対し、培養液を全量純水に置き換えたところ、アンドロゲン処理を行っていないアストロサイトに比べ細胞の生存率が著しく改善していることが判明した。これらより、アンドロゲンが脳内の体液量や浸透圧調節に深く関与していることが判明した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] F.Gu, R.Hata, K.Toku, L.Yang, Y.-J.Ma, N.Maeda, M.Sakanaka, J.Tanaka: "Testosterone upregulates aquaporin-4 expression in cultured astrocytes"Journal of Neuroscience Research. (in press).
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[Publications] Y.-J.Ma, M.Okamoto, F.Gu, K.Obata, T.Matsumoto, J.Desaki, J.Tanaka, M.Sakanaka: "Neuronal distribution of EHSH1/inetrsection, a molecular linker between clathrin-mediated endocytosis and signaling pathways"Journal of Neuroscience Research. 71. 468-477 (2003)
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[Publications] N.Ohkubo, Y.-D.Lee, A.Morishima, T.Terasaka, S.Kikkawa, M.Tohyama, M.Sakanaka, J.Tanaka, N.Maeda, M.P.Vitek, N.Mitsuda: "Apolipoprotein E and reelin ligands modulate tau phosphorylation through an apolipoprotein E receptor/disabled-a/glycogen synthase kinase-3b cascade"FASEB Journal. (Internet Journal). 10.1096/fj.02-0434fje (2002)
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[Publications] K.Mori, E.Ozaki, B.Zhang, L.Yang, A.Yokoyama, I.Takeda, N.Maeda, M.Sakanaka, J.Tanaka: "Effects of norepinephrine on rat cultured microglial cells that express α1, α2, β1 and β2 adrenergic receptors"Neuropharmacology. 43. 1026-1034 (2002)
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[Publications] Wen T-C, Tanaka J., Hata R, Desaki J., Sato K, Nakata K, Ma Y-J, Sakanaka M: "Erythropoietin protects neurons against chemical hypoxia and cerebral ischemic injury by upregulating Bcl-xL expression"Journal of Neuroscience Research. 67. 795-803 (2002)
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[Publications] Zhang B, Yang L, Konishi Y, Maeda N, Sakanaka M, Tanaka J.: "Suppressive effects of phosphodiesterase type IV inhibitors on rat cultured microglial cells : Comparison with other types of cAMP-elevating agents"Neuropharmacology. 42. 262-269 (2002)