2001 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト発生過程におけるリムホメオボックス遺伝子(LHX)の解析
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13470343
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
石川 睦男 旭川医科大学, 医学部, 教授 (20002131)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田熊 直之 旭川医科大学, 医学部, 助手 (10312464)
山下 剛 旭川医科大学, 医学部, 助手 (30271787)
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Keywords | LHX / ホメオボックス / 遺伝子発現 / 奇形 / 発生 / 悪性腫瘍 |
Research Abstract |
世界規模でのゲノムプロジェクトの進行により当初の計画であった遺伝子クローニングと単離計画は、公表されたデータベースの一部を利用することで全体の計画を早めることとした。そこで本年度は正常細胞組織におけるLHX遺伝子群の発現状況を確認し、発生過程に伴う遺伝子発現の変化を胎児と成人における子宮、卵巣、脳、肺、心臓、肝臓、腎臓、平滑筋の各組織でのHOX遺伝子群の発現の変化として解析した。また正常のみならず、悪性の発生ともいえる癌におけるLHX遺伝子の関わりについて検討するために、癌細胞株を用いて正常組織との発現パターンの変化を解析した。発現の変化を認めたものとして、LHX1では肺および筋肉において胎児期に発現するものが成人で消失していた。LHX2では子宮において胎児期に認められた発現が、成人で消失していた。また腎臓では逆に成人でのみその発現が認められた。LHX3では肝臓、腎臓で胎児期に認められなかった発現が、成人になると発現が認められた。LHX4では肺、腎臓で同様に胎児期に認めなかった発現を成人で認めた。LHX5、LHX6a、LHX8では、胎児および成人において発現に差が認められなかった。LHX9では肺、平滑筋において胎児期で発現するものが成人で消失していた。正常組織と癌細胞の比較ではLHX3、LHX4、LHX6a、LHX9において正常子宮内膜にその発現を認めなかったが、子宮内膜癌で発現を認めた。以上の点から、LHX遺伝子の発現パターンの変化に対する異常が起こることで奇形や発生異常を起こす可能性があるという仮説に対し、実際に多くの遺伝子で発現パターンが変化していることが確認できたので、今後は疾患における発現異常の有無を解析する必要があることが示された。さらに、継続的な発現パターンを示す遺伝子についても、成人において発現消失による奇形などの可能性についても考慮すべきであると考えられた。また、癌での再発現は発癌過程にLHX遺伝子が何らかの関与を示す可能性があることが示唆された。
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