2002 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト発生過程におけるリムホメオボックス遺伝子(LHX)の解析
Project/Area Number |
13470343
|
Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
石川 睦男 旭川医科大学, 医学部, 教授 (20002131)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田熊 直之 旭川医科大学, 医学部, 助手 (10312464)
山下 剛 旭川医科大学, 医学部, 講師 (30271787)
|
Keywords | LHX / LIM / 流産 / 奇形 / ホメオボックス / 小眼症 |
Research Abstract |
本年度は当大学倫理委員会の承認をうけたあと、ご両親からのインフォームドコンセントが得られた5例の死産流産患児よりDNAを抽出し、遺伝子欠損の有無を遺伝子特異的プライマーを作成しPCR法を用いて確認した。その結果LHXにおいては5例中2例で全く正常であり、3例は全長ないしは一部に遺伝子の欠損が認められたため、LHX1遺伝子の上流遺伝子DED、および下流遺伝子LOC162471についても検索した。その結果3例ともその上流ないし下流あるいは双方の遺伝子の欠損が認められた。LHX2では3例に欠損を認めたが、上流遺伝子NKG7、下流遺伝子LOC147646のいずれも欠損は認めなかった。LHX3では3例に異常を認めたが、その上流遺伝子LOC169715,下流遺伝子LOC169714のいずれにも異常を認めなかった。LHX4、LHX5では1例に欠損を認めたがその上流遺伝子LOC113675,LOC169715および下流遺伝子LOC160613,LOC169714のいずれも欠損を認めた。LHX9では3例に異常を認めたが、2例は上流遺伝子LOC113675、下流遺伝子LOC160613に欠損を認めなかった。以上の結果から、その上流および下流遺伝子に欠損が認められず、LHX遺伝子にのみ異常のあったケースはLHX2,LHX3,LHX9であった。これらの遺伝子は死産流産に伴いLHX遺伝子のみが欠損した可能性があることから、これらの欠損が死産流産に何らかの影響を及ぼした可能性を示唆することが示された。本年度はさらに以下の研究を行う準備を開始した。Mbx遺伝子は全く新しいタイプのホメオボックス遺伝子である.我々の共同研究機関であるアメリカ合衆国NIHのKawaharaらはノックダウン法による解析で、Mbx遺伝子をノックダウンされたzebrafishはその生命には異常をきたさないものの、その両眼および中脳蓋のサイズはコントロールと比べ明らかな縮小を示すことを明らかにした。そこでわれわれはマウスcDNAを単離し、その発現が胎齢9.5日まではその中脳に限局していることを明らかにした。さらに、現在当大学倫理委員会の承認後、ヒト先天性小眼症患者(4家系を含む)42名において遺伝子変異の検索を開始している。
|