2004 Fiscal Year Annual Research Report
網膜におけるカベオリンとジストロフィン複合体のグルタメイト調節機構への作用の検討
Project/Area Number |
13470363
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
植田 秀穂 信州大学, 医学部, 教授 (10242629)
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Keywords | カベオリン / mdxマウス / ジストロフィン / T細管 / 筋小胞体 / eNOS / リアノジンリセプター / 一酸化窒素(NO) |
Research Abstract |
昨年度は心筋においてカベオリン-3とeNOSとの関係が示唆されるデーターが得られた。本年度は実験をより進め、eNOSが筋細胞のどこに局在し、産生される一酸化窒素(NO)がどのような生理機能を果たしているのかを調べた。ウェスタンブロットで140kDa付近にバンドを認められる3種類の異なったeNOS抗体を用い、心筋および骨格筋を免疫染色したところ、いずれもT細管に平行な横紋構造が見られた。免疫電顕で調べたところ、骨格筋ではT細管の脇の筋小胞体終末槽とZ帯の周囲を覆う筋小胞体にeNOSが認められた。心筋では細胞膜のカベオラ、T細管、筋小胞体と特徴的な局在パターンを示した。シュークロスグラディエントを用い超遠心を行い免疫電気泳動すると、心筋および骨格筋ともに筋小胞体分画にきれいなバンドを見ることができた。心筋ではさらにT細管を含む細胞膜分画にもバンドが認められた。このことからeNOSは心筋骨格筋において重要な生理機能を有していることが示唆される。そこで我々はジストロフィン欠損マウス(mdxマウス)に対してNOの基質であるアルギニンを投与することによって、どのような変化をきたすかを調べた。驚いたことにアルギニン投与群はCPKの上昇、前肢筋力の低下、明らかな筋変性病理像をきたしていた。NOはリアノジンリセプターを開き筋小胞体から細胞質へのカルシウムの放出を促進することがわかっているので、mdxマウスの症状の増悪は細胞内カルシウムの増加によると推測される。しかしさらに驚いたことにはアルギニン投与群でも運動負荷をかけると、劇的にCPK,筋力、病理像が改善したことである。おそらく筋小胞体から放出されたカルシウムは筋収縮運動に多く使われ、このことが異常な細胞内カルシウム高値を避けることができたためではないかと思われる。
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Research Products
(4 results)