2002 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌における転写調節異常と転写仲介因子p300の癌抑制機能の解析
Project/Area Number |
13470399
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
池田 正明 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (20193211)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 やよい 横浜市立大学, 大学院・総合理学研究科, 助教授 (00202903)
安達 三美 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (10323693)
|
Keywords | 口腔癌 / 転写仲介因子 / p300遺伝子 / 癌抑制遺伝子 / ヒストンアセチル化酵素 / ブロモドメイン / TGFβ / 細胞増殖 |
Research Abstract |
p300は転写仲介因子としてクロマチンの構造変換をおこなうことにより様々な転写調節に関与している。したがって、その変異は、ヒト癌細胞における転写制御にさまざまな影響を与えていると推定されが、詳細はわかっていない。本年度は、癌抑制遺伝子としてのp300の機能を明らかにし、口腔癌の癌化機構を転写調節レベルで解明するために以下の研究をおこなった。 (1)正常対立遺伝子の不活性化を伴うp300遺伝子の突然変異もつ口腔癌1株を含む2株ヒト癌細胞を用いて、p300に癌細胞の増殖を抑制する機能があることを明らかにし、増抑制に必要な機能ドメインを同定した。さらにp300の変異により、上皮細胞の増殖を抑制するTGFβに対する応答性がなくなることを見出し、正常p300を導入すると失われた反応性が回復することを示した(Suganuma, T et al. PNAS 2002)。 (2)前年度、我々はp300の変異によってサイクリン依存性キナーゼの阻害タンパク質であるP21^<Cipl>をコードする遺伝子のTGFβによる転写活性化が起こらなくなることを示した。したがって、P21^<Cipl>遺伝子がp300変異の重要な標的遺伝子の一つであると考えられるが、TGFβによるp21^<Cipl>プロモーターの活性化機序は不明の点が多い。最近、TGFβのシグナルを仲介する転写因子Smadsと胃ガンの原因遺伝子の一つと考えられるRUNX3がp21^<Cipl>プロモーターのTGFβ応答領域に結合する可能性が示唆され、現在詳細に検討中である。 (3)p300の機能を解析するためは、クロマチンの構造変換における役割を明らかにすることが重要である。我々は、核マトリクス結合タンパク質をコードする転写調節因子E2FBP1/DRIL1がp53癌抑制遺伝子の標的タンパク質であることを明らかにした(投稿中)。さらにE2FBP1/DRIL1は野生型p53遺伝子を発現するがん細胞の増殖を抑制し、p21^<Cipl>プロモーターに結合することが明らかになった(未発表データ)。現在、E2FBP1/DRIL1の21^<Cipl>遺伝子に対するクロマチンレベルでの転写制御機構とp300との関連について解析を続けている。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Suganuma, T., Kawabata, M., Ohshima, T., Ikeda, M.A.: "Growth suppression of human carcinoma cells by reintroduction of the p300 coactivator"Proceedings of the National Academy of Science of USA. 99. 13073-13078 (2002)
-
[Publications] Tamamori-Adachi, M., Ito, H., Nobori, K., Hayashida, K., Kawauchi, J., Adachi, S., Ikeda.M.A., Kitajima.S.: "Expression of cyclin D1 and CDK4 causes hypertrophic growth of cardiomyocytes in culture : a possible implication for cardiac hypertrophy"Biochem. Biophys. Res. Commun.. 296. 274-280 (2002)
-
[Publications] Gao, C.F., Ren, S., Wang, J., Zhang, S.L..Jin, F., Nakajima, T., Ikeda, M.A., Tsuchida, N: "P130 and its truncated form mediate p53-induced cell cycle arrest in Rb-/-Saos2 cells"Oncogene. 21. 7569-7579 (2002)
-
[Publications] Ikeda, Y., Nagai A., Ikeda, M.A., Hayashi, S.: "Increased expression of Mullerian-inhibiting substance correlates with inhibition of follicular growth in the developing ovary of rats treated with E2 Benzoate"Endocrinology. 143. 304-312 (2002)
-
[Publications] Tamamori-Adachi, M., Ito, H., Sumrejkanchanakij, S., Adachi, S., Hiroe, M., Shimizu, M., Kawauchi.J., Sunamori, M., Marumo, F., Kitajima.S., Ikeda, M.A.: "Critical role of cyclin D1 nuclear import in cardiomyocyte proliferation"Circulation Research. 92. e21-e19 (2003)
-
[Publications] Nagai, A., Ikeda, Y., Aso, T., Eto, K., Ikeda, M.-A.: "Neonatal rat exposure to diethylstilbestrol (DES) affects the expression of genes involved in ovarian differentiation"J. Med. Dent. Sci.. (in press). (2003)