2002 Fiscal Year Annual Research Report
NOによって活性化されるMAPキナーゼ系の癌化機構への関与
Project/Area Number |
13470400
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
武田 弘資 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (10313230)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一條 秀憲 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (00242206)
|
Keywords | 一酸化窒素(NO) / シグナル伝達 / MAPキナーゼ / アポトーシス |
Research Abstract |
昨年度までに、JNKならびにp38を制御するキナーゼであるASK1が、NOによって強く活性化されること、ASK1ノックアウトマウス由来の胎児線維芽細胞ではNOによるp38の早期の活性化が消失していることが分かった。このことから、NOによって活性化されるMAPキナーゼ系の制御分子の1つとしてASK1が重要な役割をもつことが示唆された。 最近になりわれわれは、細胞内カルシウムの増加に伴ってASK1が活性化されることを見いだした。細胞内カルシウムの増加によるNOの産生増加や、逆にNOによるカルシウムの恒常性の調節といった現象が報告されていることから、NOとカルシウムシグナル伝達系とは密接なつながりをもつと考えられている。そこでNOによるASK1-MAPキナーゼ系の活性化へのカルシウムシグナルの関与を検討するため、カルシウムによるASK1の活性化機構を検討した。線虫での嗅覚神経の非対称性の機能分化の過程で、ASK1の線虫ホモログであるNSY-1が、哺乳類のCaMKIIに相当するUNC-43の下流で機能することが報告されたことから、哺乳類細胞においてもCaMKIIがASK1を制御するものと考え、実験を行った。細胞内カルシウムの増加によるASK1の活性化はCaMKインヒビターKN-93によって抑制されること、ASK1はカルシウム刺激依存的にCaMKIIと結合すること、さらに、活性化したCaMKIIはin vitroにおいてASK1の活性化に必須の部位のリン酸化を引き起こすことが分かった。さらに、ASK1ノックアウトマウス由来の胎児由来線維芽細胞でのカルシウムによるp38の活性化は、NO発生剤を用いた際と同じように、刺激後、早期の相だけが減弱していることが明らかとなった。以上のことからASK1がCaMKIIを介したカルシウムシグナルによるp38の活性化に必須の機能をもつことが示唆された。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Matsuzawa, A. et al.: "Physiological roles of ASK1-mediated signal transduction in oxidative stress-and endopasmic reticulum stress-induced apoptosis : advanced findings from ASK1 knockout mice"Antioxidants and Redox Signal. 4. 415-425 (2002)
-
[Publications] Nishitoh, H. et al.: "ASK1 is essential for endoplasmic reticulum stress-induced neuronal cell death triggered by expanded polyglutamine repeats"Genes Dev.. 16. 1345-1355 (2002)
-
[Publications] Matsuura, H. et al.: "Phosphorylation-dependent scaffolding role of JSAP1/JIP3 in the ASK1-JNK signaling pathway : a new mode of regulation of the MAP kinase cascade"J. Biol. Chem.. 277. 40703-40709 (2002)
-
[Publications] Inoshita, S. et al.: "Phosphorylation and Inactivation of Mcl-1 by c-Jun N-terminal Kinase (JNK) in response to oxidative stress"J. Biol. Chem.. 277. 43730-43734 (2002)
-
[Publications] Takeda, K. et al.: "Neuronal p38 MAPK signalling : an emerging regulator of cell fate and function in the nervous system"Genes Cells. 7. 1099-1111 (2002)
-
[Publications] Kuranaga, E. et al.: "Reaper-mediated inhibition of DIAP1-induced DTRAF1 degradation results in activation of JNK in Drosophila"Nat. Cell Biol.. 4. 705-710 (2002)