2001 Fiscal Year Annual Research Report
顎関節症における耳症状の発現機序に関する神経生理学的研究
Project/Area Number |
13470410
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐々木 啓一 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (30178644)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲井 哲司 東北大学, 歯学部・付属病院, 講師 (60193538)
朴沢 孝治 東北大学, 医学部・付属病院, 講師 (20199459)
橋本 省 東北大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (20156285)
坪井 明人 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (00241646)
許 重人 東北大学, 歯学部・付属病院, 講師 (10225089)
|
Keywords | 顎関節症 / 耳症状 / 痛覚 / 聴性脳幹反応 |
Research Abstract |
本研究の目的は,顎口腔領域からの感覚情報が聴覚伝導系に及ぼす影響を検索し,顎関節症患者にしばしば認められる耳鳴,難聴などの耳症状の発症機序を解明することである.本年度は,歯肉,咀嚼筋,顎関節部などに分布する三叉神経領域の痛覚受容器を刺激した場合の聴性脳幹反応(ABR)を記録することにより,痛覚刺激が聴覚伝導神経系に及ぼす影響を検索した.実験には,ペントバルビタール(25mg/kg)を腹腔内に投与し麻酔したモルモットを用いた.ABRの記録電極は頭頂部,左右乳様突起部上の皮下に設置し,後頭部の皮下に接地電極を装着した.モルモットを頭位固定装置に固定後,音刺激(クリック音, Rate ; 9.5Hz)を与えるためのスピーカーをモルモットの外耳道に挿入した.音刺激は100dBから始め5dBステップで音圧を減少させ,すべての応答が消失するまで行った.各音圧において誘発される応答を各200回づつ加算してABRの波形を判定した.痛覚刺激は,カプサイシン(Capsaicin 100μg)を下顎臼歯部歯肉,咬筋,顎関節部へ注入して行った.カプサイシン投与前のABR(コントロール)を記録した後,カプサイシンを投与して再びABRを記録した.カプサイシン投与前のABRには,I波(潜時 : 1.2〜1.7msec),II波(2.0〜2.6),III波(3.5〜4.2),IV波(4.9〜5.3),V波(5.6〜5.9),VI波(6.9〜7.2)の6波の応答が認められ,これらの応答は音圧の低下に伴い潜時が遅延した.すべての応答の消失が認められた音圧は25dBであった.カプサイシンの投与後もこれらの応答に変化は認められなかった.以上の結果から,一過的な疼痛刺激では,ABRの変化は認め難いことが示唆された.
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 佐々木啓一, 渡辺誠: "EMGバイオフィードバック咬合診断装置(Biojaws)を用いた顎関節症の咬合診断と治療"歯界展望/増刊号 歯科医学と健康の創造. 306 (2001)
-
[Publications] Ogawa T et al.: "Property of Masseter Motor Units Related to 3-D Bite Force"J Dent Res. 80(SI). 741 (2001)
-
[Publications] 許 重人: "耳介エピテーゼ装着患者における聴力機能評価"顎顔面補綴. 24(2). 92 (2001)