2002 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌患者のセンチネルリンパ節の抗腫瘍免疫機能の検討
Project/Area Number |
13470428
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
高橋 雄三 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (50014329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸岡 豊 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (10323726)
東 みゆき 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (90255654)
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Keywords | 口腔癌 / センチネルリンパ節 / 抗腫瘍免疫 |
Research Abstract |
癌特異的T細胞の誘導には,樹状細胞(DC)が重要な役割を果たしている。最近の研究では,すべてのDCが,成熟DCとなりナイーブT細胞の抗原特異的活性化を誘導するわけではなく,不完全に成熟したDCは,逆にトレランス誘導に働くことが報告されている.しかしながら,センチネルリンパ節におけるDCが,上記のどちらに働くかあるいは両者DCの性状がどう異なっているかに関しては報告がない。PD-1: B7-H1/B7-DCは,免疫寛容に関与することが示唆されている新規補助刺激分子である。これらの分子発現に注目し,抗原刺激後の所属リンパ節におけるDCの性状を検討した。局所におけるハプテン抗原塗布後の所属リンパ節におけるDCに関して検討したところ,CD86^<++>B7-DC^<++>B7-H1^+(DC-#1)とCD86^+B7-DC^-B7-H1^+(DC-#2)とCD86^-B7-DC^-B7-H1^+(DC-#3)の3種類の樹状細胞が存在することが明らかになった。DC-#3分画は,CD86の発現が認められずmyeloidマーカーをもたないことより抗原を獲得していないもともとリンパ節在住のDCと考えられ,DC-#1分画はCD28に結合し正の強力な補助刺激を入れることのできるCD86の発現が強いことからより成熟したDCであり,また,DC-#2分画はCD86発現が弱いことから不完全成熟DCであることが示唆された。このDC分画にB7-H1の発現が見られること,また,ハプテン抗原刺激時における抗B7-H1抗体あるいは抗PD-1抗体投与によりハプテン再刺激に対する反応が増強されることから,このDC分画がPD-1: B7-H1経路を介して寛容誘導に働いている可能性が示唆された。このことから,PD-1: B7-H1経路を標的とした癌免疫療法の可能性が考えられた。 今後,マウスロ腔癌リンパ節転移モデルを用いて検討する予定である。
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