2003 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌患者のセンチネルリンパ節の抗腫瘍免疫機能の検討
Project/Area Number |
13470428
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
高橋 雄三 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (50014329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸岡 豊 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (10323726)
東 みゆき 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (90255654)
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Keywords | 抗腫瘍免疫 / 樹状細胞 / センチネルリンパ節 / 補助刺激分子 |
Research Abstract |
原発組織から癌細胞が最初に流入するリンパ節はセンチネルリンパ節(LN)と呼ばれ、癌細胞の転移進行の鍵となる働きをしていると考えられるが、実際にセンチネルLNにおいて、癌に対する免疫応答がどのように起こっているかについては、未だ明らかにされていない。 近年の免疫学的研究により、樹状細胞(DC)が、抗腫瘍免疫に重要な役割を果たしており、DCの中には免疫応答を誘導するものや、逆にトレランスを誘導するものなど、様々なDC分画が存在することが明らかにされている。そこで免疫寛容に関与することが示唆されているPD-1:B7-H1/B7-DC分子発現に注目し、局所におけるハプテン抗原塗布後の所属LNにおいてDCの性状を検討したところ、昨年度までに、一部のDC分画がPD-1:B7-H1経路を介して寛容誘導に働いている可能性が示唆された。 そこで、今度はマウス口腔癌について検討するためにまず、同系(C3H)マウスに可移植性のマウス扁平上皮癌NRS1を用いて、マウスの舌に接種し、リンパ節好転移性株を樹立した。このリンパ節好転移性NRS1をマウスの舌に接種すると、短期間のうちに所属LNや脾臓において細胞数が2倍以上になっており、同部位にはNRS1が転移していないことがGFP陽性細胞を用いて確認されたため、原発巣より遊走したDCなどの抗原提示細胞を介した免疫応答が誘導されていると考えられた。そこで、腫瘍接種後の所属LNや脾臓におけるDCに関して解析を行ったところ、正常マウスの所属LNや脾臓におけるDCと比し、CD86およびB7-H1が非発現のDCが増加していることが明らかになり、この分画のDCが抗腫瘍免疫を寛容誘導している可能性が示唆された。 以上の知見から、口腔癌の治療成績の向上に必要とされる頚部転移、遠隔転移の制御には、免疫寛容誘導に働いているDCを制御する必要があることが明らかにされた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Pornpan Youngnak: "Differential binding properties of B7-H1 and B7-DC to programmed death-1 (PD-1)"BBRC. 307. 672-677 (2003)
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[Publications] Fumihiko Tsushima: "Preferential contribution of B7-H1 to programmed death-1-mediated regulation of hapten-specific allergic inflammatory responses"Eur J Immunol. 33. 2773-2782 (2003)
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[Publications] ポンパン・ユアンナーク: "口腔扁平苔癬における抑制補助シグナル分子PD-1とそのリガンド分子発現"口腔病学会雑誌. 70. 196 (2003)
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[Publications] 津島 文彦: "補助シグナル操作による癌免疫治療"Biotherapy. 14. 566-572 (2003)
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[Publications] 田中 香衣: "補助刺激分子を標的とした分子治療"医学のあゆみ. 208. 355-361 (2004)